財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y18001
タイトル
欧州の金融的送電権の導入と運用に関する経済的課題
[Title]
Economic Issues in Introduction and Operation of Financial Transmission Rights for Cross-Border Electricity Trading in Europe
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
わが国の電力システム改革においては、地域間連系線の利用ルールが見直され、間接オークション注1)が導入されるとともに、地域間値差のリスクをヘッジするための「間接送電権注2)」が導入される。欧州では、以前から、国際連系線を利用する取引において、間接オークションが導入されるとともに、間接送電権のモデルともなっている「金融的送電権(FTR)注3)」の導入が見られる。間接送電権の導入後に予想される商品設計や運用上における課題を抽出するためには、欧州のFTR の商品設計や運用状況を評価しておくことが有益である。

目 的
欧州におけるFTR の導入に関する議論を振り返り、その特徴やメリットを明らかにするとともに、現在のFTR の運用の実態や取引の実績から、今後の間接送電権の商品設計や運用において直面しうる課題への対応に向けて参考となる考え方や留意点を示す。

主な成果
1. 欧州におけるオプション型のFTR の導入および導入の検討の背景
欧州では、国際連系線の利用に伴う前日市場でのゾーン間の値差リスクをヘッジする手段として、近年、オプション型のFTR を導入する事例が見られる(図1)。オプション型のFTR は、値差リスクのヘッジ手段として、これまで欧州で主に利用されてきたUIOSI(Use-It-Or-Sell-It)型の物理的送電権(PTR)注4)と同じ性格を有するが、前日市場を介した国際取引で利用できる送電容量がPTR よりも増えることで、市場の活性化への貢献などが期待されている。一方、値差リスクのヘッジを市場参加者同士による差額契約に委ねてきた北欧では、一部ゾーンの差額契約の流動性が不十分で、一定の流動性を確保できるFTR の導入が検討されている。市場参加者が使い慣れた差額契約を残しつつFTR を導入する提案も見られるが、それぞれが流動性を確保できるかとの懸念もある。
2. 欧州におけるFTR の運用と取引の実績
年間FTR の約定価格に比べると、月間FTR の約定価格の変動は大きく、同じ連系線でも送電の向きによって価格が大きく異なる状況も生じているが、その変動は、同じ期間を対象とするオークション前日の先物価格の値差の変動によって概ね説明しうる(図2)。
3. 欧州における値差リスクヘッジの手段と間接送電権の比較
欧州で導入されている前日市場の値差リスクのヘッジ手段と、わが国で導入される間接送電権には、表に示すような違いがある。間接送電権の導入後、市場参加者の利便性を高める必要がある場合には、制度変更コストを踏まえつつ、欧州で一定の取引ニーズを満たしているオプション型FTR を参考にして良いと考えられる。

今後の展開
わが国で、将来的に間接送電権等の制度設計を改善しうる可能性について検討し、期待される効果を可能な限り定量的に評価する。
[Abstract]
This report analyzes economic issues of introducing and operating financial transmission rights (FTR) for cross-border electricity trading in Europe based on comparison with physical transmission rights (PTR) and contract for difference (CfD). Until a few years ago, PTR with Use-it-or-sell-it principle has been widely used in Europe as financial risk hedging instrument for cross border trading. Several countries in Europe replaced PTR with FTR options as it deemed to have some benefits in promoting competitive cross-border trading. In Nordic countries, contract for difference, known as Electricity Price Area Differentials (EPAD) has been used for financial risk hedging instrument for cross-border trading. These countries have been debating whether EPAD should be replaced by FTR due to the lack of liquidity of EPAD for several zones. Although EPAD and FTR can coexist, there has been a concern about liquidity split between them. We also review the process of operating FTR in Europe, specifically by looking at the determination of available interconnection capacity, auction mechanism, and allocation of auction revenue. We then analyze the auction results of FTR options and found that the market clearing price of FTR can be explained by the zonal price differentials computed by the prices of futures in each zone. Although it is too early to evaluate the effectiveness of FTR in Europe, FTR options could be an alternative instrument for market participants in Japan to hedge the financial risk of transmission under implicit auction.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2018
発行年月 [Issued Year / Month]
2019/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

服部 徹

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

古澤 健

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

星野 光

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
金融的送電権 Financial Transmission Rights
欧州連合 European Union
国際連系線 Interconnector
エリア間値差 Area Price Differentials
リスクヘッジ Risk Hedge
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