財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y18002
タイトル
アイルランドにおけるノンファームアクセス―電力系統利用の権利を考慮した混雑管理の事例分析―
[Title]
Non-firm Access in Ireland: A Case Study on Congestion Management with Transmission Access Rights
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
日本版コネクト&マネージ制度注1)の一環として、平常時の混雑発生を許容し、電源の接続条件を緩和する取り組み(「ノンファーム型接続」)が、国の審議会等で議論されている。そこでは、混雑解消のための出力抑制(給電指令)を、新規電源のみが受けることを前提としたノンファーム電源抑制方式を試行的に導入した後、既存電源を含む全電源が出力抑制を受けるメリットオーダー抑制方式へ移行することが提案されている。

目 的
ファームとノンファームを区別した混雑管理を行っている先行事例として上記議論で参照されている、アイルランドの「ノンファームアクセス制度」を分析し、わが国におけるノンファーム型接続の制度設計の議論で参考となる考え方や留意点を示す。

主な成果

1. アイルランドにおけるノンファームアクセス制度の特徴
アイルランドでは、各電源ユニットに対してファームアクセス量(FAQ)注2)と呼ばれる容量が、系統運用者により定められている。各電源ユニットのFAQは、送電制約の範囲内で送電可能と評価される電力の大きさに相当し、系統接続の際に各電源に割り当てられる系統増強工事が完了すれば、最大出力電力(MEC)と等しくなる(図)。

2. FAQに基づく混雑管理の特徴:出力抑制に対する金銭的補償の考え方とその意義
アイルランドでは、送電混雑解消のための出力抑制指令に応じた電源に対して、卸電力市場の精算プロセスを通じて、当該電源のFAQに基づく金銭的補償が支払われる。このように、電源が保有するファームアクセスの部分に対してのみ出力抑制の補償をするという方法は、他国の事例にないアイルランド特有のものである(表)。上記の精算方法は、アイルランドの卸電力市場が強制プールかつ事後決済であったために、その実施が容易であったという背景がある注3)。
上記の枠組みの下、系統運用者は必ずしもFAQを重視して出力抑制を実施するわけではない。ノンファームアクセスの電源でも、ファームアクセスの電源より優先給電規定で優位である場合や、卸電力市場において経済的に優位である場合には、送電混雑解消のための出力抑制の対象とならない。一方、ファームアクセスの電源は、ノンファームアクセスの電源の新規参入により発電機会を失った場合でも、金銭的補償を受けることができる。いずれ系統増強工事が完了すれば、金銭的補償を受けている電源は、送電混雑解消のための出力抑制を受けることもなくなり、再び発電機会を得る。上記のようにファームアクセスに対して金銭的補償を与えることは、新規電源の接続の際に系統増強工事の実施を計画するアイルランドの事例において合理的といえる。

3. わが国のノンファーム型接続との相違点
わが国のノンファーム型接続では、現状の電力取引制度を前提とすると、ノンファームの電源が前日スポット市場へ参加できず、アイルランドの事例と比較して、ノンファームの電源に不利な制度設計となることが懸念されている。ただし、この懸念を理由にアイルランドと同様の考え方をわが国でも採用すればよいとはいえない。前述のように、ファームアクセスに対する金銭的補償は系統増強工事の実施が前提とされる場合には合理的といえるが、系統増強工事の実施を必ずしも前提としない方策を検討するわが国の制度設計に対して、アイルランドの事例をそのまま適用することは難しい。

今後の展開
アイルランドの事例分析で得られた知見を基に、わが国において実需給の前日や当日における混雑管理の方式と系統増強計画の整合性を確保するための方策を検討する。
[Abstract]
This report investigates the non-firm access scheme that have been implemented in Ireland to draw implications for designing a new connection policy in Japan. In Ireland, connection applicants are offered non-firm access to the transmission system from the date the necessary shallow works connecting their plant to the system are completed up to the date all the required transmission reinforcement works are completed. While similar connection policies have been implemented in other countries, the non-firm access scheme in Ireland has a salient feature in that the level of firm access, quantified by the socalled Firm Access Quantity (FAQ), of a generator is taken into account in the process of congestion management of the transmission system. While there is no consideration of FAQ in the dispatch process except in the operation of wind generators,
all generators are eligible for compensation in the electricity market to the amount of FAQ if they are dispatched down due to congestion. In Japan, a similar connection policy is discussed introducing the categories of firm and non-firm generators. However, it is proposed by the committee that non-firm generators need to bear the compensation payment to firm generators, whereas it is borne by consumer in Ireland. Thus, in order to facilitate new connections by the above policy in Japan, a special attention should be payed to promote financing of investment projects for non-firm generators.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2018
発行年月 [Issued Year / Month]
2019/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

星野 光

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

岡田 健司

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

花井 悠二

システム技術研究所 電力システム領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
混雑管理 Congestion Management
ノンファームアクセス Non-Firm Access
電源接続 Generator Connection
再生可能エネルギー Renewable Energy
ネットワーク計画 Network Planning
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