財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y19002
タイトル
最適な投資の実現に向けたインセンティブ規制の課題ードイツのレベニューキャップの改革に基づく考察ー
[Title]
Issues in Incentive Regulation to Promote Optimal Investment in Electricity Network - Case Study of the Recent Reform of Revenue Cap in Germany -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
わが国では、電力ネットワークのレジリエンス強化や再エネの大量導入への対応に必要な投資を促しつつ、最大限の効率化を図るために、インセンティブ規制(レベニューキャップ)が導入されようとしている。ドイツの配電部門のレベニューキャップでは、2019 年から、分散型電源の増加等に伴う新規投資の費用の回収を機動的に認めるようにするなどして、必要な投資を促進しようとしている。しかし、効率化と両立するような最適な投資を促す上で、適切な制度設計となっているかどうかは必ずしも明らかではない。
目 的
ドイツの配電部門に対するレベニューキャップの制度設計において、総費用の最小化に向けた投資を促す上での課題を明らかにする。
主な成果
1.資本費調整制度が投資に与える影響
ドイツでは、2019 年に開始の第3 期のレベニューキャップから、新規投資に伴う資本費(CAPEX)に関しては、5 年毎の本格改定を待たずに、申請の翌年の収入上限に反映されることになり(図1)、機動的な設備投資が可能になったと考えられる。ただし、CAPEXの回収を重視した制度のため、CAPEX の抑制を通じて総費用を最小にするようなスマート化に向けた投資注)を促すとは限らない。
2.投資と効率化への影響を踏まえたレベニューキャップの制度設計
(1)新たな事業環境下での事業報酬率の設定方法に関する課題レベニューキャップの下でも事業報酬が収入上限に含まれるが、ドイツでは、第3 期の
事業報酬率を巡って、配電事業者が近年の事業環境で求められている投資を十分に行うことは困難であるとして、訴訟を起こした。判決では考慮されなかったが、少なくとも、スマート化による新たなリスクが予想される局面では、従来のような過去の資本市場のデータに基づいた事業報酬率の設定方法も限界が生じ始めていると言える。今後は、事業者が新たに直面するリスクを反映する事業報酬率の設定方法を検討していく必要がある。
(2)X ファクターの設定
ドイツを含めた海外では、レベニューキャップのフォーミュラにおいて、事業者に生産性の向上を求めるX ファクターの水準は、従来よりも低く設定される傾向にあり、その意義があらためて議論されている。レベニューキャップの下では、送配電事業者は利潤を獲得するために、Xファクターの水準にかかわらず費用削減努力を行う。しかし、実態と大きく乖離した生産性の向上を求めるX ファクターの適用は、短期的にOPEX を増やすスマート化への投資を抑制してしまう可能性がある。
(3)制御不能費用の分類
スマート化への投資を進めることで、事業者の管理の及ばない費用の増加が予想されるため、レベニューキャップにおいては、そうした費用を制御不能費用とし、効率化を求めない費用として扱う必要がある。ただし、ドイツの大手配電事業者においては既に50%以上の費用が制御不能費用となっており(図2)、わが国においても制御不能費用の分類については、需要家の負担にも配慮して、技術進歩の状況を見極めながら、適宜見直しを行うことも一案であろう。
今後の展開
インセンティブ規制の詳細設計が設備投資や料金に与える影響を定量的に評価する。
[Abstract]
This report investigates the issues in German incentive regulation in the form of revenue cap for electricity network facing a significant challenge of investment to integrate massive renewable energy sources while improving cost efficiency. We focus on the effect of the revenue cap of the third regulatory period for Distribution System Operators (DSOs) and discuss how it affects the investment decision. Since 2019: so called "CAPEX (Capital expenditure) true-up" was introduced to adjust revenue cap yearly by capital expenditure of new investment so that DSOs can start recovering the CAPEX without delay. Although this would promote investment: it might cause "CAPEX bias" that distorts optimal investment decision to minimize total cost by inducing DSOs to spend more CAPEX as compared to OPEX (Operating expenditure). Moreover: the CAPEX true-up may not encourage investment to deploy smart grid or intelligent grid to reduce CAPEX: since it would increase OPEX: which are subject to cost efficiency target. The effects of other elements of the revenue cap on investment and cost efficiency are also examined: including the allowed rate of return on equity: general X-factor to set productivity target: and treatment of non-controllable cost. To design the optimal regulatory framework: the regulator needs to understand the nature of risk of smart grid investment and its impact on the balance of CAPEX-OPEX: and the effect of technological progress to control the cost.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2019
発行年月 [Issued Year / Month]
2020/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

澤部 まどか

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

服部 徹

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
インセンティブ規制 Incentive Regulation
レベニューキャップ Revenue Cap
電力ネットワーク Electricity Network
設備投資 Capital Investment
ドイツ Germany
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