財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y20002
タイトル
米国及び欧州諸国の原子力発電所の長期間運転を巡る動向
[Title]
Study on Institutional Aspects of Long Term Operation of Nuclear Power Plants in the United States and the European Countries
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背  景
過年度の研究において、2050年にCO2排出量80%減を実現するためには、約2,900万kWという原子力発電所の設備容量が必要となり、それを確保するためには新増設がなければ難しいことを示した。日本の現行法令の下では認められていないが、2050年を見据え、十分な設備容量の原子力発電所の新増設が進まないリスクを考慮すると、60年超運転が必要になる可能性がある。「ライセンス期間、当初のプラント設計、関連標準又は国家規則によって定義された一定期間を超えた運転」を長期間運転(Long Term Operation:LTO)と定義すると、日本でも今後、LTOのあり方を考える必要があり、米国及び欧州諸国のLTOの状況を明らかにすることは有益である。
目  的
米国のLTOを巡る動向を整理し、審査過程の実態等を明らかにする。加えて、欧州諸国のLTO を巡る動向を整理し、各国のLTOの進め方の特徴等を明らかにする。
主な成果
1. 米国における原子力発電所の長期間運転を巡る動向
初回のライセンスが40年に決められた理由は、1954年の米国原子力法制定時の議論において、競争政策の観点から長期間ライセンスに懸念を示す司法省側と、費用回収のためにより長期の運転期間を主張する民間事業者との政治的妥結であった。すなわち、40年という期間は経済性と競争政策を考慮して決まったのであって原子力技術の制約ではないと米国の原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission:NRC)は明言している。したがって、米国原子力法及びNRC規則の中に、ライセンス更新回数を制限する規定はない。
2021年2月時点で4つの発電ユニットのライセンスが再更新され、60年超運転が認められている(「再延長」)が、NRCは、最初のライセンス再更新の申請があった2018年の10年以上前から、将来の再延長の申請に向けた様々な準備を開始していた。国際会議の開催や事業者との対話を通じて国内外の知見を収集するとともに、一般公衆を対象とした公開会合も開催し、2017年に再延長に関連する指針を発行した。上記の再延長は、これらの指針を活用して審査されている。
米国原子力エネルギー協会の調査では、連邦の安全基準を満足する原子力発電所のライセンス更新について、一般市民の7割以上が賛成している。この要因としては、NRCが再延長の実施に向けて早い段階から準備を進めていたこと、その過程や再延長の審査にはNRC規則等に基づいた公衆関与も含まれており、規制の透明性の確保に努めていること等が考えられる。
NRCが早い段階から準備を始めた理由としては、60年超運転は世界でも前例がなく、多くの技術的知見の集積が必要であり、相応の時間を要すること等を考慮したのではないかと考えられる。
2. 欧州諸国における原子力発電所の長期間運転を巡る動向
2021年2月現在において40年超運転を行っているプラントを有する欧州諸国では、フィンランドを除いて、初回の運転期間は法令で明確に規定されていない。そうした国々では、当初の設計想定等に基づいて、概ね40年超運転をLTOと見なしており、LTOの可否の判断に際して、定期安全審査(Periodic Safety Review:PSR)が重要となる場合が少なくない(表参照)。PSRを通じて、その次のPSRまでの期間(フランスの例では10年間)にわたって安全上の要件を満足することを示すことが、LTO実施の条件となっている。PSRの実施は、欧州連合の原子力安全指令によって義務付けられている。義務として実施すべきPSRを有効活用することによって、事業者と規制当局双方が、LTOのための特別な点検や審査に必要な資源を節約していると考えられる。
一方で、仮に欧州全体の環境規制が強化され、各国のLTOの手続きにおいて環境影響評価が必要になることがあれば、PSRの評価項目の中に環境影響評価が明示的に含まれていない国も多いことから、PSRを用いて安全面の審査を行う通常の手続きに加えて、環境影響評価の実施が追加的に必要になる。
今後の展開
日本において、60年を超えるLTOに向けた制度的課題の改善試案を提示する。
[Abstract]
This report discusses institutional aspects of Long Term Operation (LTO) of nuclear power plants of the United States and the European countries. The U.S. NRC states that economic and antitrust considerations, not limitations of nuclear technology, determined the original 40-year term for reactor licenses. Therefore, the number of license renewal is not limited by laws and NRC regulations. More than 10 years before the first application, NRC started various preparations for subsequent license renewal, including related international workshops, meetings with operators and the public. The reason why NRC did so could be that NRC considered the necessity of integration of technical knowledge because of the first "LTO beyond 60 years", and its preparation could need quite a long time.
In the European countries which performs operation beyond 40 years, the original license period is indefinite term, excluding Finland. Continued operation is usually performed by reviewing safety conditions of plants. Most of the countries use periodic safety review for LTO. These periodic safety reviews generally do not necessitate environmental impact assessment. In case environmental regulations are strengthened in the European countries and environmental impact assessment is needed for LTO, additional effort will be required in most of the countries.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2020
発行年月 [Issued Year / Month]
2021/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

稲村 智昌

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
長期間運転 Long Term Operation
安全審査 Safety Review
環境審査 Environmental Review
公衆関与 Public Involvement
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