財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y20003
タイトル
ドイツの放射性廃棄物管理責任をめぐる議論と資金確保に向けた制度的対応−放射性廃棄物処分基金(KENFO)について−
[Title]
The Germany's Scheme to Finance the Disposal Costs of Spent Nuclear Fuels & Radioactive Wastes - The Case of KENFO -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背  景
ドイツでは、原子力稼働停止を2022年に前倒ししたことに伴い、放射性廃棄物(使用済燃料を含む)の中間貯蔵と最終処分の費用を事業者が確保できるかにつき懸念が強まったほか、これら費用の総額が未確定であるという課題もあった。そこで2017年に、事業者の負担額を早期に確定し、確実に資金を確保するための制度的手当がなされたが、その検討プロセスや、負担額決定の背景にある考え方などは、十分には知られていない。
目  的
放射性廃棄物処分に関する事業者と政府の責任範囲の変更や、費用確保のために設立された「放射性廃棄物処分基金(KENFO)」につき、背景や課題を明らかにする。
主な成果
1. 新制度の背景にある考え方:「解体・廃炉」と「放射性廃棄物の処分」の区別
バックエンド事業のうち解体・廃炉については、事業期間が比較的短く、他国の事例等に依拠した費用算定が可能なため、引き続き事業者が実施責任を負うと整理されている。他方で、放射性廃棄物の中間貯蔵や最終処分は長期間に及び、費用も高い不確実性を有するため、事業者でなく政府が責任を負うと整理された(表参照)。この考え方に従い、従来から政府が実施責任を負っていた最終処分に加えて、中間貯蔵の実施責任が事業者から政府に移転されるなど、新制度では政府と事業者の役割分担が改められた。

2. 新制度における放射性廃棄物処分費用の負担のあり方
新制度の下でも、事業者は放射性廃棄物の中間貯蔵と最終処分の費用を負担するが、資金を内部に積み立てるのではなく、事前に現時点での相当額(全社総額175億ユーロ)を新たに設立された連邦政府管理の基金(KENFO)に払い込むこととなった。これに加えて事業者があらかじめリスクプレミアム(上記の約35%、62億ユーロ)を払い込んでおけば、たとえ将来、費用が上振れした場合でも、追加負担は免除される。実際、すべての事業者が、リスクプレミアム全額を支払うことを選択している(図参照)。
上記制度を実施する上では通常の立法・法改正に加えて、政府は、事業者と公法契約と呼ばれる協定を締結し、将来、事業者に追加負担を求めないことを確約している。これにより、事業者にとっての政策変更リスクの除去を図っている。

3. 事業者が負担すべき費用やリスクプレミアム水準をめぐる議論
事業者が処分費用相当額として基金に払い込むべき金額については、外部機関(会計事務所)が実施した調査に依拠することで、その中立性・透明性維持を図っている。
また、事業者が追加的に払い込むべきリスクプレミアムの額(想定費用の約35%)については、より高い水準を主張した環境団体と、低い水準を求めた事業者の立場を踏まえた政治的な妥結と考えられ、ドイツ国内の審議会等の議論においても、必ずしも明確な根拠は示されてはいない。

4.政府がリスクの一部を負担することの根拠
事業者が従来負担してきた費用変動リスクを政府に移管することに対して、ドイツ国内では、原子力分野における汚染者負担原則を修正するものだとの批判があった。他方で、同国の原子力開発は純粋に民間事業者だけが推進してきたのではなく、国(政府)がある程度、関与・支援してきたのであるから、両者が共同してリスクを負うことはやむを得ないとの見解もある。
今後の展開
諸外国のバックエンド関連制度を比較・検討し、その特徴をより明らかにする。
[Abstract]
This report surveys the German fund scheme that releases the nuclear operators from back-end cost fluctuation risks. Under the new scheme, the German Nuclear Waste Management Fund, or KENFO, would bear responsibility for financing the intermediate storage and final disposal of spent nuclear fuels and radioactive wastes. Instead, nuclear operators would pay the "basic amount", which corresponds to the estimated cost of the above, to the fund. The amount is about 17.5 billion euros. In addition, if a nuclear operator opts to pay the so-called "risk premium", which is about 35 % of the basic amount, the operator will be relieved from any more financial obligations even if the fund turned out to be underfunded because of cost overrun. To tackle with political risk, nuclear operators concluded a contract with the government in which the latter commits not to require operators to bear additional financial duty even in case of underfunding. The basic amount and risk premium were set through a commission composed of various experts and stakeholders. However, the level of risk premium seemed to be determined as a kind of political compromise because stakeholders expressed their own views.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2020
発行年月 [Issued Year / Month]
2021/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

佐藤 佳邦

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
放射性廃棄物管理 Nuclear Waste Management
使用済燃料 Spent Nuclear Fuel
最終処分 Final Disposal
ドイツ Germany
放射性廃棄物処分基金 KENFO
Copyright (C)  Central Reseach Institute of Electric Power Industry. All Rights Reserved.