財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y20005
タイトル
レベニューキャップ規制における収入上限の設定に関する分析ースマート化への取組みに向けた課題を中心にー
[Title]
Analysis of allowed revenue of electricity network operators under revenue cap - Issues in promoting active network management -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背  景
わが国の送配電部門においては、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、需要家負担に配慮しつつ分散型電源の増加に対応することが求められている。英国をはじめ欧州では、電力ネットワークのスマート化注1)による能動的な管理で分散型電源に対応し、長期的に費用を抑制しようとしている。レベニューキャップ規制の下では、収入上限の設定が送配電事業者のスマート化への取組みに影響を与えるため、スマート化の特徴を考慮した収入上限の設定が求められる。
目  的
レベニューキャップ規制の下で、送配電事業者が長期的に費用を抑制しうるスマート化に積極的に取組むことを妨げないような収入上限の設定方法を示す。
主な成果
1. スマート化がもたらす費用逓減のメリットとその特徴
送配電事業者がスマート化に取組む場合、短期的には不確実性やリスクもあり、特に運転費(OPEX)を増加させる要因が多くあるが(表1)、電力ネットワークの増強のための設備投資を抑制あるいは繰延することにより、長期的には総費用を抑制することが期待されている。近年、英国の配電事業者のレベニューキャップ規制で承認されている費用の内訳をみると、設備投資が抑制されている一方でOPEXが増加しているが(図1)、その背景の一つとして、分散型電源の大量導入に対応するためにスマート化への取組みを促そうとしていることが挙げられる。
2. スマート化の長期的便益を反映した収入上限の設定
レベニューキャップ規制においては、事業者が回収すべき費用を踏まえつつ、Xファクター注2)を含むフォーミュラによる収入上限の調整が行われる。事業者が申請して規制当局が認めたスマート化への取組みを予定通り進めるためには、規制期間中の収入上限の現在価値が少なくとも認められた費用の現在価値に等しくなるように、期初の収入上限とXファクターを定める必要がある。長期的に費用削減が期待されるスマート化に取組む場合でも、規制期間(短期)における費用の現在価値が高くなるような場合には(図2)、期初の収入上限を高くするか、Xファクターを小さくすることで、当該規制期間における収入上限の現在価値も高くする必要がある。
加えて、スマート化への取組みにおいては、技術開発や分散型電源の普及状況など、不確実性やリスクが高く、OPEXが想定よりも増加する可能性がある。このことは事業者にとってリスクとなり、スマート化への取組みに消極的になるおそれがある。仮に、従来型の設備投資で対応した場合との比較で、スマート化による長期的な費用削減効果を把握できるのであれば、需要家への負担も考慮しながら、その効果の一部を不確実性やリスクへの備えとして収入上限に認めるという対応策が考えられる(図3と図4)。

[Abstract]
To integrate a large amount of intermittent renewable energy resources to decarbonize the grid, it would be necessary for the electricity network operators to adopt active network management (or Non-wires alternatives) to reduce the cost in the long term. Such smart solutions include the utilization of flexibility provided by distributed energy resources (DER) to manage network congestion, and thereby deferring capital investment in physical network. However, in the short term, this incurs a larger operating expenditure (OPEX), as can be seen in the UK electricity network. As a result, the allowed total expenditure (TOTEX) may be increased during the regulatory period. In addition, OPEX for smart solutions can increase due to the uncertainty related to new technology to be employed. To encourage the network operators to adopt smart solutions under revenue cap regulation for the benefit in the long term, allowed revenue during the regulatory period needs to be set so that its present value is at least equal to the present value of higher allowed cost. Based on a hypothetical case of smart solutions, we presented how to set the X factor, or the allowed revenue in the first year of regulatory period, given the higher cost in the short term and the higher risk in OPEX with smart solution.

報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2020
発行年月 [Issued Year / Month]
2021/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

澤部 まどか

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

服部 徹

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
レベニューキャップ規制 Revenue cap regulation
スマート化 Active Network Manegement
Xファクター X-Factor
現在価値 Present value
規制の自己資本利益 Return on regulatory equity
Copyright (C)  Central Reseach Institute of Electric Power Industry. All Rights Reserved.