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軽水炉プラントの経年化対応や高度活用のため、プラント内での伝熱流動、流力振動現象の評価法や管理規格の確立に向けた研究、燃料の高燃焼度化や炉心管理の研究、確率論に基づくモデルとプラント履歴データを活用したリスクベース管理手法の研究などを進めています。

フィルタベントシステムの最適な運用方法の検討

流れと化学反応の重畳現象としてエアロゾルやヨウ素、有機ヨウ素の除去性能を計測し、最適なフィルタベントシステムの運用方法を見出す研究を資源エネルギー庁委託事業「平成26年度発電用原子炉等安全対策高度化技術基盤整備事業(フィルタベントの性能評価のための技術基盤整備)」として実施しています。

フィルタベントシステム設備

ヨウ素の除染係数と処理液中のヨウ素濃度時間変化

液滴を含む高速蒸気流の挙動を把握する実験

図-a 高速蒸気流の実験装置の全体写真

 プラント機器内での高速蒸気流れ、および、その中に含まれる液滴の多次元的な流れの挙動を実験で把握します(図-a,図-b)。また、数値解析(図-c)も活用して、機器の劣化や振動の低減方策を検討しています。

図-b 配管系ノズル部での流れを
   調べるための試験体形状と
   液滴計測の例

  

図-c 弁内の高速蒸気流場で
  発生する旋回偏流
  (配管系の圧力脈動の励振源)
  の解析例

  

(1) FBRプラントシステム安全評価技術

高速増殖炉(FBR)の開発・設計では、炉心を冷却する系統に何らかの異常があった場合(過渡事象と呼びます)に、原子炉の安全が確保されることを確認します。例えば、炉心を冷却するポンプが停止した場合に、核分裂連鎖反応が止まり、かつ、炉心の冷却が確保され、燃料や冷却材の温度が決められた最高温度を越さないことを確認します。その際、炉心、冷却系を含むプラント全体がどのように変化するか、すなわち、冷却材の流量や各部の温度がどのように変化するかを精度良く予測することが必要です。

当所では、これらを評価する解析コードの開発を進めています。当所が開発している解析コードの1つに、「FBR用プラント動特性解析コードCERES」があります。これは、FBRの冷却系の中でも大きな体積を持つ原子炉プレナムなどを多次元メッシュでモデル化し、それらとポンプ、熱交換器(中間熱交換器、補助冷却器、蒸気発生器)、配管などの冷却系機器をネットワーク化して解析することができます。原子炉プレナム内の冷却材の複雑な流れを予測することが重要な過渡事象においても、高い精度で冷却材の温度変化・流量変化を解析できるという特長を持っています(図1)。CERESコードは、国内で唯一の発電システムを持つ高速増殖原型炉「もんじゅ」の試験データや、米国で実績のあるSASSYS-1コードとの比較を通じて、その解析の妥当性の確認を行っています。今後、安全なFBRの設計や運転に活用したいと考えています。

図1 CERESコードによるFBRシステムのモデル化と解析結果のイメージ
(Image of FBR system modeling and analysis results by CERES CODE.)

(2) 核融合炉実用化のための技術評価

国際熱核融合実験炉ITER(イーター)は、建設費を日本、欧州、米国、ロシア、韓国、中国、インドで分担し、フランスに2008年から建設が始まる予定です。完成すれば人類史上初の「核融合によるエネルギー連続発生」が実現します。しかし、ITERはあくまで実験炉なので、そこから実用発電炉まではまだかなりの開発要素があります。ITERの次のステップは、実用炉の一歩手前の「発電実証を行うための原型炉」ということになります。

当所においては、実用炉の姿を念頭におきつつ、それを目指すための原型炉の概念設計を実施しています。その設計を通して、今後の開発のための技術目標を明らかにすることや、現時点で達成されているデータに比べ、原型炉ではITERからどのくらいの性能改善が必要かなどを評価することが目的です。図は、ITERで確認可能な技術で実現することを目標として設計した原型炉案「Demo-CREST」の鳥瞰図です。

図2 Demo-CREST鳥瞰図 (Bird's-eye view of Demo-CREST)

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