欧州諸国の高レベル放射性廃棄物処分政策と民意の反映 (1.4 MB)
High Level Radioactive Waste Management Policies and Reflections of Citizens'Opinions in Selected European Countries
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原燃サイクルバックエンド、高レベル廃棄物、地層処分、政策決定、民意
長野 浩司
原子力エネルギー利用を行ってきた諸国において、高レベル放射性廃棄物の処理処分は現在最も重要な問題と認識され、その解決に向けた努力が図られてきている。使用済燃料の直接処分政策を採る国、再処理リサイクル及びガラス固化体の処分政策を採る国のいずれも、処分方法としては深地層処分を採用することが提案されているが、実際に地層処分を行う処分場の特定地点への立地に関する決定を下し得た国は、これまでのところ米国とフィンランドのみである。本報告では、高レベル廃棄物処分の実現に向けて、独自の取り組みをみせている欧州各国の中から、フィンランド、スウェーデンを例として取り上げ、地層処分の実現に向けた政策決定及び処分場立地のプロセスについて考察し、今後独自のプロセスに着手していく日本としての教訓を汲み取るよう試みる。現地調査を中心に情報収集と分析を加えた結果、以下の結論を得た。
(1)フィンランドの原子力政策決定の特徴は、原則決定(DiP)手続きによる決定事項の確認、国とくに議会の関与、及び市民の社会システムに対する高い信頼感である。
(2)スウェーデンのオスカーシャムにおいては、地元議会の率先した取り組みにより、高レベル廃棄物問題についての意思決定能力基盤(コンピタンス)の構築を図り、市民に問題の所在と責任ある取り組みと意思決定を実行してきている。
(3)立地プロセスの推進においては、信頼関係の喪失という失敗を招くことは大きな時間的・経済的損失を意味する。成功の要件として、立地点の地元に原子力に関わる問題への心理的拒絶感が小さいこと、原子力に関わる問題を理解し判断する能力及び人材があること、立地を提案されている当該施設及び当該の問題に留まらず、地域社会としての望ましい将来像の議論を通した決定が下されること、を提唱する。
将来の家庭用エネルギー機器選択に与える技術経済要因分析
−固体高分子燃料電池・電気温水器間の競合条件− (588 KB)
Analysis of Technology Choice between a Distributed Power System and an Electric Water Heater of Residential Custmers
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最適計画、電気温水器、コージェネレーション、技術間競合、固体高分子燃料電池
今村 栄一 / 浅野 浩志
近年、小型コジェネレーションシステム(CGS)開発の進展に伴い、家庭や小規模業務部門需要家におけるマイクロコージェネレーション(μ-CGS)の導入が進みつつある。本論分では、開発の進む固体高分子燃料電池コージェネレーション(PEFC-CGS)と電気温水器を対象に、家庭部門需要家の最適計画モデルおよび電力需要・給湯需要の実測データを用いて、技術経済的な観点からPEFCの導入可能性を分析した。あわせて、PEFC発電効率・排熱回収効率及びコスト条件に対する感度解析により技術選択要因の分析を行った。分析の結果、以下の事などが明らかとなった。
(1)PEFC-CGSが電気温水器に対して価格競争力を持つためには、30万円/kW程度以下の価格水準を達成することが必要となる。
(2)不足熱量の追焚用としてはガスよりも電気によって行うことが年経費の点からは需要家メリットにつながる。
(3)発電効率の向上による排熱回収効率の低下は需要家のコストメリットを縮小させるため、発電効率の向上だけでなく熱利用を含むシステム効率の向上が不可欠となる。
(4)時間帯別電灯を選択した需要家において、PEFC-CGSが電気温水器に対して価格競争力を持つためには機器価格条件として25万円/kW程度を達成する必要がある。また、部分負荷運転が難しい場合においてもPEFC-CGSの機器価格は25万円kW程度を達成する必要がある。
カリフォルニア州電力自由化プロセスに関する政治経済学的事例研究 (1.1 MB)
A Case Study on Political Economics of California Electricity Industry Restructuring Process
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電力自由化、電力危機、アメリカ型民主主義
小中山 彰
2000年初夏から2001年春にかけて米国カリフォルニア州で発生した「電力危機」については、すでに多くの分析レポートや調査研究論文が発表されて、問題点や原因等は明確にされ、日本が学ぶべき教訓も数多く示唆された。
本論はそれら分析レポートや論文とは少し異なる角度や資料によって「電力危機」問題にアプローチするものである。公聴会における証言、議会における発言、さらに膨大な量にのぼる公表資料に、制度設計にかかわった多くの関係者へのインタビューを重ね合わせて、多様な価値観、集団的心理状況、そして利害関係が錯綜した場において、偶然と必然が織り成して作り上げられた電力自由化という公共政策形成の歴史的経路を浮き彫りにしていくことを目指している。
公共政策としての電力自由化の決定プロセスにおいてアメリカ型民主主義がどのように機能したかについての政治経済学的事例研究であるとも位置付けられる。
高齢化の影響を織り込んだ消費モデルの開発 (650 KB)
Estimation of an AIDS-type consumption model with age effects
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高齢社会、家計消費、ライフサイクル、AIDSモデル、固定効果モデル
若林 雅代
経済の長期展望に際して、人口構造の変化をいかに織り込むかは重要な課題の一つである。電中研の長期展望システムで用いている費目別消費支出関数でも、時系列分析で人口要因を取り入れているが、人口構造は時系列トレンドを持って変化しているため、単に消費構造変化のトレンドを追いかけているに過ぎない可能性が高い。
本稿では、年齢階級別消費支出データを用いて、消費体系の推定モデルとして広く応用されているAIDS(Almost Ideal Demand
System)に、年齢によるパラメータのシフトを取り入れた消費モデルを開発し、これをマクロ計量モデルにリンクさせる試みを紹介する。
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