電力中央研究所

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日刊工業新聞

確かな価値の創出に向けて 挑む電中研⑮
時代に先行する実験設備

再生エネ普及へ技術実証

 わが国では再生可能エネルギーの主力電源化が進められており、その大部分は太陽光発電となっている。これらは住宅の屋根に設置されている場合や、地上に設置されている場合などがあり、主に配電系統に連系されている。

 配電系統とは、電力系統の中で末端の需要家に電気を配る役割を担っている電力網である。従来の電力系統では、大規模な発電所で発電された電力が非常に高い電圧にて送電系統へ送り出される。この送電系統を経て各地に送電され、変電所で低い電圧に変換され、配電系統にて各需要家に供給される。この配電系統に太陽光発電が連系されることで、これまでの一方向とは異なる電力の流れとなるため、場合により配電系統の電圧変動が生じて太陽光発電の利用に制約が生じる。また、配電系統で事故があった際に太陽光発電などが運転を継続した場合、事故検出が困難になり停電時間が長時間化する可能性がある。

 電力中央研究所(電中研)では、以前よりこれら課題に対応する技術の開発を行っており、実証検証設備として実規模の配電系統を模擬した「地域グリッド実験設備」を有している。この実験設備は前橋市の電中研赤城試験センター内にあり、約1km×約600m四方の敷地内に4回線の配電系統を模擬している。

 模擬系統の構成により線路が長い配電系統や線路の途中に分岐がある配電系統を構築することが可能である。需要家の模擬として負荷設備(負荷室)、太陽光発電、コージェネレーション<熱電併給>システムなどの発電設備(電源室)を模擬系統内に分散配置している。

 また、模擬系統内に通信網を構築しており、制御棟にて検証する機器の制御や模擬系統内の状態・監視・測定が可能な構成となっている。この実験設備での先の課題や対策技術の検証など、太陽光発電の利用拡大や停電時間短縮に資する研究に取り組んでいる。

 近年は家庭や事業所などに蓄電池を設置し、太陽光発電の余剰電力の有効活用や需給逼迫(ひっぱく)時のデマンドレスポンスへの対応が検討されているが、運用方法次第では接続される配電系統へ悪影響を及ぼす可能性がある。

 台風や地震といった災害時に蓄電池などを活用して特定のエリアを復旧させ、運用する地域マイクログリッドも検討されているが、この運用に関しても課題が多くある。

 電中研では、これらの新しい課題に対応するため、時代を先取りして実験設備を更新しながら対策技術の開発を行っている。

図

地域グリッド実験設備の全体図

著者

森脇 滉/もりわき あきら
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 主任研究員
2016年度入所、専門分野は配電系統

日刊工業新聞(2026年6月11日)掲載
※発行元の日刊工業新聞社の許可を得て、記事をHTML形式でご紹介します。

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