電力中央研究所

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日刊工業新聞

確かな価値の創出に向けて 挑む電中研㉔
地下水年代の信頼性評価

廃棄物処分地選定に活用

 放射性廃棄物を安全に処分するためには、地下深部で地下水がどの方向へ、どの程度の速さで流れているかを、数万年という長い時間スケールで把握することが重要である。このような長期的な地下水の動きを調べる手段として、電力中央研究所(電中研)では「地下水年代」に着目した研究を進めている。

 地下水年代とは、雨などの水が地中に入り、地下水となってから現在までに経過した時間である。地下水中で時間とともに減少する天然の放射性物質や、逆に蓄積する物質、例えばヘリウムなどを測定することで年代を推定できる。地下水年代を利用すれば、その地域で地下水がどのように流れているか、また地下水の動きがどの程度遅いかを直感的に把握できる。このため、処分場候補地周辺の地域住民に地下水の状況を分かりやすく説明する上でも有用である。

 また、地下水の流れをコンピューター上で再現する地下水流動解析や、その解析モデルの妥当性確認にも利用できる。

 電中研は、これまでに青森県六ケ所村にある調査用ボーリング孔等を利用して、天然の放射性炭素(14C)やヘリウムなどを利用した地下水年代の技術開発を行ってきた。その一環で、最新の採水・分析技術を用いて地下水年代を調査した。

 再調査では、14Cやヘリウムに加え、ガスの水への溶けやすさが温度によって変化する性質を利用した「希ガス温度計」も適用した。これは、地下水に溶けている希ガスの濃度から、その水が地中に入った当時の気温を推定する方法である。地下水中の14Cから求めた年代を地下で起こる化学反応の影響を考慮して補正し、その年代と対応する希ガス温度計の温度の経時変化を、氷床コアに記録された過去の気温変化の傾向と比較した。

 その結果、約1万~2万年前の気温上昇の傾向がよく一致し(図)、異なる原理に基づく二つの方法で整合的な結果が得られたことから、14C年代の信頼性を確認できた[1]。

図

約2万年前からの気温上昇の傾向

 今後、地下水年代をサイト全体の地下水流動の把握や解析モデルの検証に活用することで、放射性廃棄物処分場候補地の安全性評価を科学的かつ分かりやすく示すための重要な技術になると期待される。高レベル放射性廃棄物処分でも、今後ボーリング調査を伴う「概要調査」が行われる可能性が高まっている。電中研では、地下水年代評価技術を維持・高度化するとともに、新たな技術を取り入れ、将来のサイト調査に活用できるよう研究開発を進めていく。

【参考文献】
[1]Tomioka et al., "Groundwater evolution modeling using multiple dating methods in the Pacific coastal area of Shimokita Peninsula, Japan", accepted in Hydrogeology Journal

著者

中田 弘太郎/なかた こうたろう
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 上席研究員
2002年度入所、専門は地下水や放射性核種の移行挙動、博士(工学)

日刊工業新聞(2026年10月15日)掲載
※発行元の日刊工業新聞社の許可を得て、記事をHTML形式でご紹介します。

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