原子力技術研究所 放射線安全研究センター

HOME > トピックス > 東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所7号機排気筒から放出された放射性物質による人体への影響について

東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所7号機排気筒から放出された放射性物質による人体への影響について

東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所では、7月16日に発生した新潟県中越沖地震により自動停止した7号機の主排気筒から放射性ヨウ素(ヨウ素131、ヨウ素133)および粒子状放射性物質(クロム51、コバルト60)が検出されました。確認された放出放射能量は、放射性ヨウ素 約4×108ベクレル、粒子状放射性物質 約2×106ベクレルであり、これにより受ける放射線量は、東京電力の発表によれば、放射性ヨウ素が約2×10-7ミリシーベルト、粒子状放射性物質が約7×10-10ミリシーベルトと評価されています。

 

当センターでも、東京電力が公表した数値に基づいて放出された放射性物質による被ばく線量とその影響を評価いたしましたのでその結果をご紹介します。

 

放出放射能量:
放射性ヨウ素(ヨウ素131、ヨウ素133) 約4×108ベクレル
粒子状放射性物質(クロム51、コバルト60) 約2×106ベクレル
評価方法:
国の安全審査指針で平常運転時の原子炉施設周辺の一般公衆に対する線量評価の基本的考え方を検討した「発電用軽水型原子炉施設の安全審査における一般公衆の線量評価について」(平成元年3月27日 原子力安全委員会了承 一部改訂 平成13年3月29日 原子力安全委員会)の計算パラメータおよび「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」(平成13年3月21日 経済産業省告示)の周辺監視区域外の濃度限度を使用して評価しました。
計算結果:
放射性ヨウ素による被ばく線量は約1千万分の6ミリシーベルト(約6×10-7mSv)、粒子状物質による被ばく線量は約10億分の5ミリシーベルト(約5×10-9mSv)と東京電力の発表とほぼ同程度の評価結果になりました。

 

この約6×10-7ミリシーベルトおよび5×10-9ミリシーベルトの線量を身近な放射線による被ばく線量と比較すると以下のようになります。

 

  • 胸部X線撮影1回分(約0.05ミリシーベルト)の約8万分の1および約1千万分の1
  • 成田−ニューヨーク間の航空機往復(宇宙線により約0.18ミリシーベルト)のそれぞれ約30万分の1および約3千万分の1
  • 自然放射線から受ける年間線量(約2.4ミリシーベルト)の約4百万分の1、約5億分の1

 

このように、今回の排気筒から放出された放射性物質による被ばく線量は日常生活の中で受けているものと比べて桁違いに低く、人体への影響は無視できる範囲であると言うことができます。

 

停止中の柏崎刈羽原子力発電所7号機における主排気筒からの放射性物質の測定結果(7月23日分)について

(平成19年7月24日 東京電力株式会社 柏崎刈羽原子力発電所)

 

流出した液体状放射性物質による影響についてはこちら

このページのTOPへ

Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry