社会経済研究所

社会経済研究所 コラム

2018年1月10日

2018年頭のご挨拶:
「目標」を持つこと、変わり行く社会の将来像を見通すこと

社会経済研究所長  長野 浩司

 本コラム並びにメルマガをご愛読戴いている皆様には、ご家族ともどもお健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
 本年も私ども社会経済研究所をお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。 私自身の当コラムへの寄稿が、昨年8月以来滞ってしまいました。年も改まりましたので、心機一転、頑張って行きたいと思います。

 私が常日頃所内で、とくに中堅・若手メンバーに話していることに、「常に目標を持て」というのがあります。この目標とは、「いつまでに、何々を達成する」というものです。15年後の集大成でも良いですし、3年後の中間取り纏めでも良い、あるいは第4四半期に入るこの時期であれば目の前の年度末の〆でも止むを得ないということもあります。

 ここで大事なことは、今日の目標と明日のそれが全く換わっていても一向に構いませんが、私が問いかけた際に常に何らかの答えを持っていて、明瞭に即答できるようであってほしい、ということです。

 目標を立てるということは、自分が成し遂げたい多くの物事に優先順位を付け、その第1位を選び取るということです。この、多くのことを見定めた上で優先順位をつけるという作業を日頃から繰り返し行うことをしてほしい。

 研究者として、あるいは一人の人間として、望む全てを達成できる、手に入れることができるわけではありません。常に選択を迫られ、実際に諦めねばならぬものも出て来るものです。

 そこで大きな誤りを起こさぬよう、大局観のようなものを常に持ち、自らの選択に後々大きな後悔を残さぬようにしてほしい。私自身の来し方を振り返り、その反省を踏まえつつ、そう伝えたいのです。

 別途掲載させて戴きますが、電気新聞隔週水曜日連載「ゼミナール」の2018年第1回掲載(1月17日予定)に、「変わり行く社会の将来像をどのように見通すか?」について寄稿いたしました。

 内容は当該記事をご覧戴きたいと思いますし、一部は当コラムの2017年6月28日掲載『世界エネルギー会議 「世界エネルギーシナリオ2016年版:大転調』でもご紹介しました。将来の望ましい社会像を常に思い描くことは、電気事業の中央研究機関の社会経済部門たる私どもとして、常日頃考察を怠ることなく取り組むべき課題であると、改めて認識しております。

 とくに、今後の社会を変容させる最重要のドライバとなるであろう「デジタルトランスフォーメーション」に注目して、その光と影を分析していきたいと考えています。社会のデジタル変容により、費用削減や新たな産業・雇用の創出といった「光」の部分が語られることが多いですが、万物には常に影の部分が付きまとうはずです。

 あらまほしき社会像としてのバラ色の絵姿を夢想するばかりでは、研究者としては安易に過ぎる。望ましい社会像の実現を阻害する要因を見落とさず、弊害を避ける手立てを併せて編み出すことをしなければならない。これを、私どもの2018年の重要課題の1つとしたいと思います。
 成果を得れば、何らかの形でお目にかけたく存じます。

 改めまして、本年もよろしくお願い申し上げます。

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