保守作業におけるチェックポイント抽出



背景


原子力発電所の運転・保守に係わるトラブル事象を、ヒューマンファクターの観点から分析・評価し、情報共有化のためデータベースを開発しておく必要性が指摘されたことから、当研究所では、国内原子力発電所におけるヒューマンエラー事象約210件について分析を行い、その結果をデータベース化している。このデータベースには具体的なエラー、ならびに原因と対策がまとめられており、具体的に現場へフィードバックを行うという観点から、データベースの有効活用が求められている。


目的


J-HPESで分析済の運転・保守に係わるヒューマンエラー事象を、類似した事例別に横断的にみて共通的な問題点(教訓)を抽出する方法、さらにエラーを防ぐためのチェックポイントを抽出する方法を検討する。また、現場への反映方法について検討する。


主な成果


1. 共通的な問題点/チェックポイントの抽出方法の定型化
共通的な問題点は、従来の個別事象分析では最重要とされなかったヒューマンエラー事象の原因要素にも着目し、教訓として共有できるよう、各ヒューマンエラー事象のJ-HPES原因関連図の各原因要素を、エラーとその原因の考え方(図1)の中の現場作業実施(実作業、監督)、関連業務(作業計画、要領作成、作業準備、TBM)、前提条件(作業特性、現場特性、マン・マシンインタフェース、部署特性、個人特性、教育)の観点から分類し、各分類における原因要素の内容をまとめ、抽出することとした。また、共通的なチェックポイントについては、現場監督者がエラー未然防止活動の一環として作業前にチェックポイントを確認することを前提に、抽出した問題点各々について関連事象のJ-HPES対策案の提案表から抽出することとした。

2. 共通的な問題点/チェックポイントの抽出
保守作業に係わるヒューマンエラー事象をエラーモード(必要な作業の抜け、無関係な行為の実施、誤った行為の実施)の観点で分類し、さらに対象設備を念頭においてエラーを細分化(ボルト締付不良、部品の組み込み誤り等)し、上記抽出方法にて共通的な問題点/チェックポイントを抽出した。

3. 抽出結果の現場への反映方法
抽出結果の活用方法として、現場監督者が様々な関連業務を実施する際に活用することを目的とした4ページから成る資料「Catch the Point」-経験から学ぶエラー防止のチェックポイント(図2図3)を発行している。

[関連報告書]


(図1)


(図2)


(図3)