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電気新聞 ゼミナール

ゼミナール (150)

わが国における太陽光発電の入札の失敗から何を学ぶべきか?

【17年の入札は深刻な失敗に】

 17年4月の固定価格買取制度(FIT)の改正により2千kW以上の太陽光発電(PV)を対象に入札が実施された。しかし、11月に公表された入札結果は深刻な失敗だった。これは、最終的な落札が4件・約4万kWと募集容量の僅か9%に留まったことで、入札量に対する応札量が不十分だったため、競争原理が働かず、平均落札価格は20円弱/kW時と、上限価格21円に張り付いたことから指摘できる。
 これを受けて、18年度の入札に向けて、上限価格を非公表として実施し、開札後に公表する等の改善策が示されている。しかし、応札件数が少なく競争原理が働かなければ、失敗が繰り返されるだろう。この状況を抜本的に改善するために、何をすべきだろうか。

【競争原理活用と政策目標との連動が必要】

 改善策の第1は、対象電源拡大による競争原理の活用である。今回の入札では対象電源を2千kW以上としているが、全ての事業用PVに占める割合は約35%に過ぎない。例えば対象電源を500kW以上とすれば、事業用PVの60%が対象となるため、競争環境が整う。加えてPV設備単価の平均値は、1千kW以上は約28万円/kWである一方、これ未満で500kW以上は約1割安価である(第34回調達価格委)。したがって、対象電源の拡大はコストダウンにつながる。
 第2は、政策目標に合わせた入札量の設定である。入札を導入した目的は「国民負担の抑制」すなわちエネルギーミックスの目標を最小コストで達成することにある。30年度のPV目標は6400万kW、うち非住宅用PVは5500万kWである。16年度末までの非住宅用PVの稼働済み設備は約3千万kWであり、17年度以降は年間190万kWずつ、入札で安い設備から導入すれば、政策目標を達成することができる。
 ところが、日本では、2千kW未満の設備が入札の対象外であるため、実質的に、PVの導入に上限がない。つまり、最小コストによる政策目標の達成とは全く連動しない形で、対象設備の容量が設定されたのである。

【早急なPV補助停止の検討を】

 さらに、18年1月末には、16年6月末までに接続契約済の非住宅用PVが約6千万kWと、前述の目標値を既に超えたことが明らかになった。その全てが稼働するものではないが、大半は稼働することになるだろう。
 このままさらに補助を続ければ、FIT買取総額の超過が危惧される。「国民負担の抑制」が目的であるならば、目標値を超えてまで、補助による導入は避けるべきだ。
 また、今回の入札結果が改めて提起したのは、FITによりPV導入量が世界第2位にまで達したにも関わらず、発電コストが諸外国の2〜3倍と縮まらない日本において、今後もPVの補助を続ける合理的な理由はあるのかという点である。
 実際、これまで世界で最も落札価格が高かったドイツでも直近の落札価格(17年10月)は約6円/kW時と日本の1/3である。最も安いメキシコでは既に1/10の価格となっている(図)。
 もはや、政策論としてPVへの補助を継続する理由は見当たらない。早急な停止も含めた検討が急務である。

電力中央研究所 社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域 上席研究員
朝野 賢司/あさの けんじ
2007年入所。専門は環境経済学、再生可能エネルギー政策。

図解

電気新聞2018年2月28日掲載

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