社会経済研究所

ディスカッションペーパー

東日本大震災のマクロ経済影響について
−電中研マクロ計量経済モデルによる試算−

  • 林田 元就,浜潟 純大,中野 一慶,人見 和美,星野 優子
  • SERC Discussion Paper 11024
  • Date:2011.8.29
   

要約

 

 2011年3月11日14時46分に宮城県沖を震源として発生した巨大地震は,その後の大規模な津波を伴い,東北地方から首都圏までの太平洋沿岸という広い範囲で,甚大な被害をもたらした.本稿は,復旧・復興計画の政策策定の基礎情報を提供することを目的として,今般震災の住宅・民間資本・社会資本に対する直接被害を速報的に推計し,その経済への間接影響を想定した上で,電中研マクロ経済計量モデルを用いて実質GDPなどマクロ経済変数に与える影響を試算したものである.
   本稿において想定した震災の間接影響を前提とすると,短期的には,震災が生じなかったケースに比べ,実質GDPは2011年度に1.3 %減少し,2012年度は0.1 %増加すると試算された.その要因を2011年度についてみると,復興需要要因(プラス1.0 %ポイント)は実質GDPに対して正の影響を及ぼすものの,資本損壊や電力制約要因(マイナス1.9 %ポイント)は大きな負の影響を及ぼすとの結果が得られた.一方,中期影響の試算では,短期影響の場合と異なり,震災のマクロ経済影響はほとんどないことが示された.ただし,震災の復旧・復興の遅れが,産業の域外や海外への流出やさらなる人口減少を引き起こす可能性があるなど,復興のシナリオによって2020年までの平均経済成長率が楽観ケースで1.8%,悲観ケースで0.5%と経済成長経路が変わりうることを示す.
   なお,現時点においても,震災による直接被害のすべてが把握されている訳でないことに加え,その間接影響も時間を経るにつれて実態が明らかになるであろう.そのため,本稿の試算は現在の情報と想定に基づく暫定的なものであることに留意が必要である.また,本稿では,原子力発電所の再稼働問題など新たに生じている電力供給に関する影響については考慮されていない.

   

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「社会経済研究所 ディスカッションペーパー」の記載において、意見にかかる部分は筆者のものであり、電力中央研究所又はその他機関の見解を示すものではありません。

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