社会経済研究所

ディスカッションペーパー

中国はシェールガスの開発技術を獲得できるか?:
中国語文献による調査

  • 上野 貴弘
  • SERC Discussion Paper 11040
  • Date:2012.01.17
   

要約

 

 米国のシェールガスブームを契機に、中国においてもシェールガス開発への期待が高まっており、中国・国土資源部は2020年以降に生産が急拡大すると見通している。開発に成功すれば、中国のみならず、世界のエネルギー需給を大幅に緩和できる。
 そこで本稿では、今まで現象としては知られていたリスク認知バイアスに対して、進化心理学的な解釈に基づく分類を行い、これらが現代ではどのような例となって現れているか、また石器時代にあったリスクがどのようにして現在の人類のヒューリスティクスの原因となり、その結果リスク認知バイアスを生じさせているかについて考察する。
 中国では、不利な規制、政策枠組みの不在、地質条件、パイプラインの制約、環境影響、そして技術力の不足が資源開発の障壁と言われているが、本稿では、「米国のシェールガス革命」を可能にした技術力に注目し、中国が開発技術を獲得できるかどうかを考察した。
 シェールガス開発に必要とされる技術は、以前より石油・天然ガス開発に使われていた多数の技術の組み合わせであり、具体的には、水平坑井技術、水圧破砕技術、破砕による亀裂の観測・分析技術の複合である。開発地点ごとに技術を適切に組み合わせて最適化する専門的知見が、商業ベースでの生産を成り立たせるカギであり、米国では、30年に及ぶ経験蓄積に基づいて、技術の組み合わせが高度化してきた
 に使われていた多数の技術の組み合わせであり、具体的には、水平坑井技術、水圧破砕技術、破砕による亀裂の観測・分析技術の複合である。開発地点ごとに技術を適切に組み合わせて最適化する専門的知見が、商業ベースでの生産を成り立たせるカギであり、米国では、30年に及ぶ経験蓄積に基づいて、技術の組み合わせが高度化してきた。
 そこで、中国における技術の現状をみるために、中国語の技術文献を調査した。その結果、中国においても、既に、在来型の石油・天然ガス、および炭層メタンの開発で水平坑井や水圧破砕などの技術が用いられているが、シェールガス開発への適用にあたっては、個別技術の水準が不十分であることに加えて、技術を組み合わせて最適化する能力も不足していることが分かった。
 この状況を踏まえて、中国は自主開発と技術移転を加速させており、この1年程度の動向を見ると、第12次5カ年計画における明確な推進、四川省における長距離の水平掘削と多段の水圧破砕の成功、水圧破砕技術を有するFrac Tech社への投資計画などプラスの動きが多く、技術の獲得に向けた期待が膨らんでいる。ただし、経験蓄積に基づく高度なファインチューニングという技術の特徴上、経験を積む時間が必要となり、短期間で技術を獲得できるかは不透明である。また、米国のシェールとの特性の違いが技術的に重大なネックとなる可能性もある。

   

本文ダウンロード:本文

免責事項

「社会経済研究所 ディスカッションペーパー」の記載において、意見にかかる部分は筆者のものであり、電力中央研究所又はその他機関の見解を示すものではありません。

Get ADOBE READER
PDFファイルを読むためにはAdobe(R) Acrobat(R) Reader(R)のインストールが必要です。
  • 電力中央研究所
  • 採用情報 Recruiting Information
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry