社経研DP
2012.03.08
半導体産業における温暖化対策としてのPFC排出削減 自主的取り組みの成功事例 その2
- 気候変動
- 企業・消費者行動
SERC Discussion Paper 11041
要約
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本稿の内容は,書籍『温暖化対策の自主的取り組み 日本企業はどう行動したか』(エネルギーフォーラム社,2013.3)の第3章に掲載されています。
半導体産業は,1999年に温室効果ガスの1つであるPFC(パーフルオロ化合物)削減の共通目標を掲げ,排出削減に向けた自主的な取り組みを展開している.米国・日本・欧州・韓国・台湾によってスタートした民間主体の取り組みは,2010年以降は中国を加え,世界の半導体生産地域の9割以上をカバーする(注:生産能力に基づくシェア).本稿では,文献および業界関係者へのインタビュー調査に基づき,半導体産業におけるPFC対策の背景,各国の対応や今後の展開等を分析する.
本事例において注目すべき点は,次の通りである.
(1) 半導体産業では,自主的な取り組みによって,各企業が温暖化対策として一般的な費用以上の負担を受容し,PFCの排出抑制に成功した.
(2) 世界共通の削減目標と,それを実現するための様々な技術情報の交換等の具体的・かつ積極的な活動により,2010年に1995年比で米国が▲35%,欧州が▲41%,日本では▲50.6%というように,いずれの国・地域においても当初目標の▲10%を大幅に上回る削減を達成した.
(3) 総量目標では日本をはじめ技術的限界に近づく国・地域がある中で,半導体産業の民間団体である世界半導体会議(WSC)は,2010年以降の対策における共通目標について協議を行い,先進国・新興国間の取り組みの程度の差を埋めるため「新規工場に対するベストプラクティスの導入」という内容で2011年5月に合意した.これは,対策ベースでの目標設定によって地域的な限界費用の均衡化を図るものと解釈できる.