社経研DP

2011.05.24

需給給両面から見た2011年夏の電力不足対策のあり方―でんき予報を活用した適時適量の節電の提案―

  • エネルギー需要
  • 企業・消費者行動

SERC Discussion Paper 11010

高橋 雅仁   浅野 浩志  

要約

●大規模節電から適時適量の節電へ  
東京電力管内の供給力が積み上がっており、節電対策のイメージは4月8日の時点から大きく変わっている。当初は、「7-9月の平日は毎日10-21時に節電を行い、1350万kWの節電量を確保する」必要があった。しかし、仮に5430万kWの供給力を確保できれば、「7-9月平日の需給逼迫しそうな日(20日間程度)の11-18時に少なくとも570万kW程度の節電量が最小限必要と状況は大幅に緩和される。 ただし、供給力の信頼度を考慮して、運転予備力分も含めて需給バランスを取ることを考えると、必要節電量は830万kWになる(日数は34日間程度)。需要家に過度な節電を促すことは止め、使用実態に即した情報を提供し、適時適量の節電を促すことが望ましい。

 
●常時節電と一時的節電を組み合わせた対策が望ましい  
夏期の就業時間中、常に実施する省エネ的な節電(=常時節電)と需給逼迫しそうな日時にだけ実施する緊急時DR(デマンドレスポンス※)的な節電(=一時的節電)の組み合わせで、ピーク負荷削減することが望ましい。前者は、減灯や夏休みの長期化分散化、通常の省エネ工夫など企業・家庭の各主体が過度な負担なく実施できるものを行う。 後者では、空調設定温度の緩和やエアコン使用抑制のような各主体の負担を強いる対策を含む。冷房設定温度の緩和やエアコンの使用制限は、室内温熱環境を悪化させ、執務者の作業効率の低下や居住者の健康への悪影響につながる可能性が高いため、夏季昼間に常時実施することは止めるべきである。

 
※デマンドレスポンスとは:系統側から提示される電力価格やシグナルに応じて、需要家自身が電力需給を調整することによって、系統大の需給バランスをとる手法。電力供給コストの削減や供給信頼度の向上に資する。

 
●でんき予報を活用した「節電日」(仮称)の事前通知  
需給逼迫しそうな日を「節電日」(仮称)とし、節電日の有無を、でんき予報を活用してインターネットやテレビ・ラジオ、電子メール、Twitterを用いて事前に通知することが望ましい。これによって、需要家に適時適量の節電を促すことができる。

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