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研究資料 詳細情報 Detailed Information

報告書番号 Report Number
Y19507
タイトル Title
乗用車の電動化とカーシェア普及による波及効果の評価方法について−電動車分析用産業連関モデルの開発−
概要 Abstract ※図表や脚注は「研究資料全文」に掲載しております

背 景

 日本では、自動車メーカーに対して、燃費を改善することや、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電動車の国内販売比率を高めることが求められている。また、電気自動車については、車両管理が内燃機関車に比べて容易であることから、特に、短距離・短時間で貸すようなシェアードカーとの親和性が高い。電動車と内燃機関車では車体構造が異なるため、将来的に、電動車やカーシェアが普及する場合には、充電需要の増加に加えて、乗用車を生産するために必要な電力投入量が変化することが考えられる。

目的

 電動車とカーシェアの普及による生産活動やそれに伴う電力需要への影響を評価するための“電動車分析用産業連関モデル”を開発する。加えて、電動車やカーシェアが普及する場合のシミュレーション分析を行い、モデルの感度を確認する。

主な成果

1.電動車分析用産業連関モデルについて

 電動車分析用産業連関モデルは、乗用車(内燃機関車:ICE、ハイブリッド自動車:HV、プラグインハイブリッド自動車:PHV、電気自動車:BEV)の国内販売や走行時における需要を満たすために必要な生産活動と、それに伴う電力需要への影響を評価できるように構築している(図1)。
 この産業連関モデルの投入構造には、電動車(HV、PHV、BEV)の要素技術である二次電池、モーターなどの電動車向け電気機械や、BEV においてエンジンが不要になる影響が反映されている。
 国内販売需要については、販売台数(フロー)と保有台数(ストック)を整合的に想定できるようにしている。また、カーシェアが普及する場合の販売台数については、自家所有車の減少台数とシェアードカーの増加台数を想定できるようにした(図2)。

2.乗用車の国内販売と利用による波及効果のシミュレーション分析

2.1 シミュレーションケースについて
 シミュレーション分析では、2018 年から2030 年までを対象期間として、電動車が普及する場合とカーシェアが普及する場合のシミュレーションケースを設定して、生産や電力需要への波及効果を産業部門別に評価した。また、ここでは、電動車の国内販売比率が2030 年まで2018 年と同程度で、かつ、カーシェアが普及しない場合(現状維持ケース)も設定した。(表1)
 カーシェア普及シミュレーションではシェアードカーを全てBEVとした。
2.2 電動車普及シミュレーション
 電動車普及シミュレーションでは、その国内販売比率が2030 年に60%(政府目標の中位程度)まで上昇するのに加えて、電動車向け電気機械の調達先の違いが波及効果に与える影響も明らかにするために、それらが全て国産品の場合[電動車普及(国産部品)ケース]と、全て輸入品の場合[電動車普及(輸入部品)ケース]を設定した。
 生産への波及効果としては、現状維持ケースでは、世帯数や買い替え需要(廃棄台数)の変化に応じた販売台数の減少を通じて、生産額は2030 年に2018 年比3.1 兆円減少(同年比9.3%減少)する。電動車普及(国産部品)ケースでは、BEV の普及によりエンジンの生産が減少するものの、電動車向け電気機械の生産が増加して、生産額は2030 年に同年比2.8 兆円減少(同年比8.5%減少)に留まる。また、電動車普及(輸入部品)ケースでは、電動車向け電気機械の波及効果が国外で生じるため、生産額は2030年に同年比5.0兆円減少(同年比14.9%減少)する。
 電力需要への波及効果(図3)としては、現状維持ケースでは、販売台数の減少により、電力需要は2030 年に同年比14.1 億kWh 減少(同年比5.4%減少)する。電動車普及(国産部品)ケースでは、電動車向け電気機械を生産するための電力投入量が増加するのに加えて、充電需要も増加するため、電力需要は2030 年に同年比49.3億kWh 増加(同年比18.9%増加)する。また、電動車普及(輸入部品)ケースでは、電動車向け電気機械を生産するために必要な電力需要が国外で生じるが、充電需要が増加するため、電力需要は30 年に同年比28.3 億kWh増加(同年比10.9%増加)する。
2.3 カーシェア普及シミュレーション
 カーシェア普及シミュレーションでは、新車の購入を検討するにあたり、乗用車の所有からカーシェアに移行する割合が、2020 年から2030 年にかけて10%になる場合(カーシェア普及ケース)と、50%になる場合(カーシェア高普及ケース)を設定した。
 生産への波及効果としては、カーシェア普及ケースでは、シェアードカーとしてBEVが普及するため、電動車向け電気機械の生産が増加する。一方、自家所有車の販売台数が減少するため、生産額は2030年に2018年比4.4兆円減少(同年比13.2%減少)となる。また、カーシェア高普及ケースでは、販売台数の減少による影響が拡大して、生産額は2030 年に同年比9.4 兆円減少(同年比28.1%減少)となる。
 電力需要への波及効果(図3)としては、カーシェア普及ケースでは、自家所有車の販売台数の減少による電力投入量の減少があるものの、シェアードカーの充電需要が増加するため、電力需要は2030 年に同年比3.4 億kWh増加(同年比1.3%増加)となる。また、カーシェア高普及ケースも、カーシェア普及ケースと同様に、販売台数の減少による影響よりも充電需要が増加するため、電力需要は2030 年に同年比76.6億kWh 増加(同年比29.4%増加)となる。

今後の展開

 今後は、電動車分析用産業連関モデルを将来予測に活用していくのに加えて、LCA(ライフサイクルアセスメント)分析に応用できるように改良する。

報告書年度 Report's Fiscal Year
2019年度
発行年月 Issued Year / Month
2020/3
報告者 Author
間瀬 貴之
キーワード Keywords

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