福島第一原子力発電所の事故で、原子力発電所の安全に対する信頼は大きく失墜しましたが、原子力エネルギーの平和利用は、人類に明るい未来をもたらしてくれると今でも考えています。

原子力をこれまでのように基幹電源の一つとして長く使っていくためには、原子力に対する信頼を回復していかなければなりません。長い年月を要することは覚悟しています。

信頼回復のためには、避難されている方々への対応も含めて、事故を安全に処理し終息させること、事故の徹底的な検証に基づき、抜本的な対策を施して既存炉を安全・安定に運用し、その実績を積み重ねていくこと、また、使用済み燃料の貯蔵や再処理、放射性廃棄物処理・処分についても、施設を安全・安定に操業していくことが重要です。

さらに、原子力の利用に伴うリスクとベネフィットを定量的にわかりやすく示していくことも必要であると思います。

原子力技術研究所は、これらを研究開発の面からしっかりと支えて行きたいと考えています。

電力中央研究所
研究参事
原子力技術研究所長
稲田 文夫