原子力技術研究所 放射線安全研究センター

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放射線利用データブック 工業分野への利用

工業分野の概要

  1. 材料加工

    私たちの暮らしの中には、繊維類・合成樹脂などの高分子化合物が、天然・人工を問わず多く用いられている。これらに放射線を照射すると、高分子化合物の炭素と水素の鎖が、架橋(橋かけ)したり、時には崩壊したりする。

    架橋が生じれば材料は強くなり、力学的特性や耐熱性を向上させることができる。また崩壊を利用すると材料は脆く弱くなり、粉砕処理や切断処理を容易にすることができる。


  2. 材料検査

    工業用の材料・機器・構造物は規定された規格や仕様に基づいて製造され、かつ製品が定められた使用条件のもとで、使用期間中に破損することなしに、所期の性能を満たす必要がある。そのため、素材から製品に至るまでの製造工程中並びに供用期間中における品質管理に、放射線透過検査が利用されている。

    病院で使われるX線検査と同様の原理で、放射線の透過能力や減衰する性質を利用して物体の内部の状況を調べる方法で、例えば金属の溶接部分に生じる恐れのある空洞などの欠陥の有無を調べる非破壊検査や、高温で接触作業ができない製鉄所における鉄板の圧延作業、家庭で使用されるクッキングホイル(アルミはく)の圧延、ティシュペーパー等の紙のロール圧延作業など、対象物に触れずに厚さの制御に用いられていることは、意外に知られていない。


  3. 環境保全

    産業活動ではなんらかの形で、多種多様な廃棄物の放出が行われている。特に排煙・排水等については環境保全の観点から、放射線を利用することにより、有害物の除去や滅菌などを行い、環境に対してやさしい技術が開発されている。

    放射線を利用して実用化された技術では、排煙処理が有名である。石炭・石油などの化石燃料を使用すれば、排煙中に酸性雨の原因となる窒素酸化物や硫黄酸化物などが含まれる。その排煙にアンモニアを加えて電子線を照射することによって、硝安や硫安などの肥料に変えることができる。

    ※尚、本コーナーは現在順次構築中であり、表示できない部分が多くあります。ご了承下さい。

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