原子力技術研究所が保有する主な研究設備をご紹介します。
水質模擬蒸気-水二相流ループ設備
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設置場所(地区名) | 発電プラント熱流動実験棟(横須賀地区) |
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設置時期 | 2010年3月(2015年4月横須賀地区に移設) |
設置の目的 および概要 |
気液二相流条件下で流れ加速型腐食(FAC)が発生する実機の圧力、温度や水質条件を模擬し、気液二相流FACの現象を解明することにより、気液二相流FAC予測モデルを構築します。 |
仕様 | 最大圧力:2.0MPa 最高温度:215℃ 最大総質量流量:50kg/h |
配管破損時漏洩挙動計測設備
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設置場所(地区名) | 発電プラント熱流動実験棟(横須賀地区) |
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設置時期 | 2016年4月 |
設置の目的 および概要 |
小口径配管の破断時における流体漏洩挙動の詳細特性を計測し、配管条件パラメータ(配管口径・圧力・温度・流量・流出体系)に対する基礎的なデータベースを整備します。 |
仕様 | 最大圧力:2.0MPa 最高温度:215℃ 最大噴射流量:250L/min |
配管材料減肉評価試験設備
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設置場所(地区名) | 発電プラント熱流動実験棟(横須賀地区) |
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設置時期 | 2006年3月(2015年3月横須賀地区に移設) |
設置の目的 および概要 |
FAC予測モデルの検証に資するため、実機プラントの水単相流配管の温度・水質・材料条件下で流れ加速型腐食(FAC)による減肉速度の実験データを取得します。 |
仕様 | 最大圧力:2.0MPa 最高温度:200℃ 最大総質量流量:270L/min |
汎用蒸気試験設備
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設置場所(地区名) | 発電プラント熱流動実験棟(横須賀地区) |
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設置時期 | 2005年3月(2014年12月横須賀地区に移設) |
設置の目的 および概要 |
実機プラントの蒸気配管内の蒸気流れを把握し、蒸気配管内流動に起因するトラブル事象の現象解明、原因究明や対策立案に資することを目的とした各種蒸気流動試験を実施します。 |
仕様 | 試験圧力:0.1〜1.2MPaA 試験温度:飽和〜230℃ 蒸気条件:乾き/湿り(〜20%) 最大供給蒸気流量:830 kg/h |
汎用蒸気試験設備(拡張)
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設置場所(地区名) | 発電プラント熱流動実験棟(横須賀地区) |
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設置時期 | 2016年6月 |
設置の目的 および概要 |
汎用蒸気試験設備に対して供給蒸気圧力および流量等の設備能力を増強(設備を増設)し、高圧/負圧条件での連続的な各種蒸気流動試験を実施します。 |
仕様 | 試験圧力:0.03〜2.0MPaA 試験温度:飽和〜230℃ 蒸気条件:乾き/湿り(〜20%) 最大供給蒸気流量:1700 kg/h |
超高温加熱装置
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設置場所(地区名) | 第4研究棟(日本原子力研究開発機構/原子力科学研究所) |
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設置時期 | 2012年9月 |
設置の目的 および概要 |
福島第一原子力発電所の廃炉事業を円滑に推進するため、想定される燃料デブリのうち、融点が2000℃を超える酸化物質等を対象に、燃料デブリの模擬物質を作成し、想定されるさまざまな物理化学的な特性を取得します。 |
仕様 | 最高到達温度:2800℃ 雰囲気:不活性ガス オンラインモニタリング:温度、圧力 昇降温速度:100K/s以下 試料量:数100g |
超高温熱分析装置
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設置場所(地区名) | 第4実験棟(横須賀地区) |
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設置時期 | 2014年3月 |
設置の目的 および概要 |
福島第一原子力発電所の事故後、1500℃を超える高融点物質(燃料デブリ等)の諸特性の把握が急務とされています。本装置では、融点等の相変態温度を精緻に取得することができます。 |
仕様 | 熱重量変化および熱量変化の測定 試料量:100mg以下 最高温度:2400℃ 雰囲気:ヘリウム、真空 |
X線回折装置
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 1998年3月 |
設置の目的 および概要 |
セメント鉱物やガラス等、放射性廃棄物処分のバリア材料等を構成する結晶相の変化を確認し、材料の健全性評価や長期性能評価の際の基礎情報データを得るために導入しました。X線回折を利用し、結晶相の同定や定量、結晶化度等を分析する。セメント長期劣化試験装置で変質させたセメント水和物の鉱物組成変化を分析した実績があります。 |
仕様 | 放射性試料の測定が可能です(照射試料測定の実績あり)。 |
環境制御グローブボックス
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 1998年3月 |
設置の目的 および概要 |
地上と異なる地下深部の環境を実験室で作り出し、現実に近い処分条件下で材料変化データや放射性核種データを取得するために導入sました。放射性廃棄物の地下処分場環境(極低酸素濃度の還元環境)を再現できる、環境制御グローブボックスです。セメント水和物の劣化試験では、炭酸化を抑制した試料調整もできます。 |
比表面積・細孔分布計
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2005年3月 |
設置の目的 および概要 |
放射性廃棄物処分に用いるバリア材(セメント、ベントナイト)や周辺岩盤の放射性核種吸着特性を評価するために導入しました。低容量式ガス吸着法により、窒素ガスやその他のガスを紛体状の固相に吸着させた際の圧力変化から吸着特性の基本的パラメータである比表面積、細孔分布を求めます。 |
固・液相中微量元素測定装置(LA-ICP-MS, ICP-AES)
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2006年3月 |
設置の目的 および概要 |
レーザーアブレーションICP質量分析法(LA-ICP-MS)は、固体試料中の元素を直接分析できる方法でです。高エネルギーのレーザーを固体試料表面に照射し、遊離した元素をICP質量分析装置に導入し直接測定をします。ICP発光分析装置(ICP-AES)は溶液中の微量元素濃度同時測定に用います。 |
全有機炭素濃度計
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2007年3月 |
設置の目的 および概要 |
溶液中に溶存する有機炭素および無機炭素の濃度測定を行う装置です。 放射性廃棄物からの溶出が懸念される有機形態C-14の挙動の基礎的データ取得を目指す非放射性有機炭素を用いた収着および拡散実験時に使用します。 |
Ge半導体検出器
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 1976年2月 2012年12月 |
設置の目的 および概要 |
放射線の一種であるγ線をエネルギー分解能高く測定ができる装置です。 |
2πガスフロー比例計数装置
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2006年7月 |
設置の目的 および概要 |
放射線の種類のうち、α線とβ線の計数率をモードの変更により別々に測定ができる装置です。 |
ガスクロマトグラフ(BID検出器)
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2015年2月 |
設置の目的 および概要 |
気相と液相中に含まれる微量な有機・無機化合物を定性・定量できます。検出感度は、従来の熱伝導検出器(TCD)や水素炎イオン化検出器(FID)よりもバリア放電イオン化検出器(BID)の感度が高く、0.1ppmオーダーで検出が可能です。主に、気相中の低級炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素濃度の定量に用います。 |
ガスクロマトグラフ(FID検出器、オートサンプラー付)
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2010年9月 |
設置の目的 および概要 |
気相と液相中に含まれる微量な有機化合物を定性・定量することができ、主に液相中の低級アルコール成分の定性・定量に用いています。また、オートサンプラーが付属しているため、業務効率および分析の信頼性を向上させることができます。 |
マイクロガスクロマトグラフ(TCD検出器)
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2010年3月 |
設置の目的 および概要 |
気相中に含まれる有機・無機化合物を定性・定量することができ、主に気相中の水素濃度の定量に用いています。また、特定のガラスアンプル容器を使用することで、試料からの水素ガス発生量を見積もることが可能です。 |
陰イオンクロマトグラフ
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2011年10月 |
設置の目的 および概要 |
液相中の陰イオン性成分を定性・定量することができ、主に有機酸の定量に用いています。 |
低線量率放射線長期照射設備
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 1998年3月 |
設置の目的 および概要 |
実験動物や培養細胞に低線量率のガンマ線を長期間にわたって照射し、その影響を解析します。 低線量率のガンマ線を照射しながら長期間にわたってマウスの飼育や培養細胞の培養を行うことができます。 |
仕様 | 線源:セシウム137 線量率:線源からの距離(-10m)によって約0.27〜27mSv/hr 照射室:クリーンルーム 照射対象:マウス、細胞 |
X線照射装置
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2016年3月 |
設置の目的 および概要 |
低線量率照射に対して、同じ線量を短時間のうちに高い線量で照射した場合の影響を解析し、「線量率効果」を明らかにします。自己遮蔽型としては最大の350KVのX線発生装置で、1mGy/min−数十 Gy/min の線量率でX線を照射することができます。 |
仕様 | MultiRad350(Faxitron製) 管電圧:30-350kV 管電流:0.1-30mA MBR1520R4(日立製) 管電圧:35〜150kV 管電流:5/10/15/20mA |
動物飼育設備
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 1998年3月 |
設置の目的 および概要 |
放射線への応答を動物を用いて、個体として解析するため、実験動物を均一な条件で飼育する。照射した動物と非照射の動物を同一条件で飼育することにより照射効果の判定を行う。
実験動物(マウス)の飼育に最適な温度、湿度に制御し、動物どうしの感染などがおこらないように、常時清浄な空気が供給される装置を設置。 2009年3月、研究に多用されるようになった遺伝子改変マウスなどを生産するための個別飼育換気装置を備えた飼育室を増強。 これにより多数の系統を維持可能となった。 |
仕様 | 動物飼育室:2部屋(セーフティラック各3台(約100匹/台)を収納) 実験動物飼育管理区域内に低線量率放射線長期照射室、X線照射室などをもつ 個別飼育換気装置:イノバイブケージングシステム |
細胞培養設備
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 1989年9月 |
設置の目的 および概要 |
マウスの体内から取り出した細胞やヒト由来の細胞などを使って、細胞レベルでの放射線応答を解析します。バイオクリーンベンチ、CO2インキュベータなど細胞を一定の条件で培養するために必要な装置を設置しています。同一室内に設置されている150KV X線照射装置で照射された細胞をすぐに解析することもできます。 |
仕様 | クリーンベンチ CO2インキュベータなど |
レーザー共焦点顕微鏡
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2009年3月 |
設置の目的 および概要 |
細胞の中の蛋白質の量や分布が照射によってどのように変化するかを3次元的に解析します。 細胞の光断層像を撮り、コンピュータ処理することで、蛍光ラベルした分子の細胞内分布やその移動を三次元イメージとして分析することができます。 |
仕様 | C1si Ready (ニコン製) |
幹細胞解析基幹装置
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2015年6月 |
設置の目的 および概要 |
細胞のタンパク質の種類や量の変化を指標として、放射線の影響を解析します。フロー系、光学検出系、データ処理系からなるセルソーター。蛍光染色した浮遊細胞の蛍光強度・細胞数などを測定することによって、細胞周期の解析・細胞表面および内部抗原の測定、および目的細胞の分取ができます。 |
仕様 | MoFlo Astrios EQ (ベックマン・コールター製) |
マイクロビームX線照射システム
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2007年3月 |
設置の目的 および概要 |
低線量率放射線照射下で生じる、組織内のごく一部の細胞だけしか放射線が当たっていない状況を、個々の細胞をマイクロビームで狙い撃ちすることによって作り出し、生物学的機構を解析します。最小で直径2μmのX線マイクロビームを、細胞内の標的部位に照射し、その後の細胞や分子の変化を追跡して、可視化された状態で解析することができます。 |
仕様 | X線エネルギー:1.5 keV (Al-Kα線) ビームサイズ:直径2-6 μm 線量率:約0.1〜 1 Gy/秒 加速電圧:30 kV X線収束:フレネルゾーンプレート 顕微鏡:共焦点レーザー顕微鏡(405nm, 488nm, 543nmレーザー搭載) 照射対称:細胞 |
凍結切片作成装置
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設置場所(地区名) | 狛江地区 |
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設置時期 | 2016年7月 |
設置の目的 および概要 |
放射線照射したマウスの組織や3次元再構築組織培養モデルから標本を作成し、細胞・分子の変化を観察します。解剖時に組織等を凍結したブロックから、凍結切片を作成して速やかに病理診断を行うことが可能であるとともに、蛍光で標識された幹細胞や不安定な酵素などを解析する標本を作製し、細胞競合や損傷の蓄積性を解析することができます。 |
仕様 | クリオスターNX70バキュトーム付(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社) |