原子力技術研究所 放射線安全研究センター

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電中研報告(放射線防護)

放射線防護基準を合理的に達成するには、これまでに行われてきたような保守的な評価に替わり、放射線計測時の不確実性や、放射性廃棄物処分などの安全性評価におけるモデルやパラメータの不確実性を適切に考慮した評価が必要になります。

当センターでは、放射性廃棄物のクリアランス評価や放射性廃棄物処分システムの性能評価を対象として、確率論的な考え方を活用するなどした評価手法の開発ならびに評価を実施してきています。

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【平成26年度】
福島第一原子力発電所事故後の線量評価と放射線防護の重要課題
−国内外専門機関報告書の俯瞰的なレビューから−
2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故は、炉心損傷から放射性物質の放出に至り、政府や自治体による避難等の防護措置が取られたものの、最終的に作業者や一般住民の被ばくが起こり、その余波は今も続いている。一方、事故以降、様々な国内外の専門家組織によって、一般住民や作業者の受けた被ばく線量の評価、とりわけ事故直後の線量評価や、リスクの推定計算がなされるとともに、事故後に浮かび上がった放射線防護関連の様々な課題が提起され、国連科学委員会UNSCEAR、世界保健機関WHO、国際放射線防護委員会ICRP、日本保健物理学会等から報告書が出されてきた。
 本調査報告書では、2015年1月までに入手可能であった、これら国内外専門家による線量評価ならびに放射線防護課題の報告書群を俯瞰し、それぞれの報告書の概要を取りまとめるとともに、課題を整理することで、今後の線量評価、放射線防護課題の解決に向けた方策において重要となる課題を明らかにした。
報告書全文
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【平成25年度】
放射線防護基準の進展に関与する国際組織の動向
放射線防護基準策定に関与している国際的組織について,公開情報とICRP刊行物のドラフト版に対するコメントに基づいて各組織の設立背景や趣旨を調査した。さらに,ICRPのリエゾン組織情報も調査し,今後の放射線防護の進展において重要になると考えられる国際的組織と関心事項を抽出した。本調査により,国際放射線防護学会(IRPA)とその加盟学会の活発な活動が明らかになった一方で,近年設立された欧州ALARAネットワーク(EAN)及び原子力及び放射線緊急時対応と復旧の準備にかかる欧州プラットフォーム(NERIS)のような,規制機関,事業者等異なる立場の関係者(ステークホルダー)を巻き込んだ団体の関与も認められた。以上の結果から,我が国の放射線防護に係る研究成果及び意見を国際的に発信していくためには,IRPAと連携を図ること,EAN及びNERISと議論を活性化させることに加え,新たに国内の様々なステークホルダーを交えたプラットフォームを構築し,我が国の情報や意見を集約してから発信していくことも有効と考えられる。 報告書全文
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【平成23年度】
フライアッシュ混合セメント硬化体中の陰イオン拡散挙動 −拡散係数の空隙構造依存性−
低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分システムでは,低収着性核種の移行を遅延させるために,低拡散性能が期待できる高緻密コンクリート層の配置が検討されている.これには,緻密性向上の面からフライアッシュ混合低熱ポルトランドセメント(FAC)が候補材料とされている.既報では,FAC硬化体中のヨウ素イオンおよび酢酸イオンの拡散挙動について検討しており,一般的なセメント系材料である普通ポルトランドセメント(OPC)と比較して高い低拡散性能を有することを報告しているが,そのメカニズムについては明らかにされていなかった.本研究では,FACの低拡散性能の空隙構造依存性を明らかにするために,複数化学種(塩素,臭素,ヨウ素)を同時に使用した透過型拡散試験を実施した.その結果,FAC中の陰イオンの有効拡散係数はOPCと比べて1〜3桁小さいこと,FACに対する有効拡散係数はイオン径が大きいほど小さくなることがわかった.また,13ヶ月にわたる拡散試験期間において,FACの空隙径分布および空隙率がポゾラン反応の進行のために,より緻密な構造へと変化していることが明らかになった.これらのことから,FACの低拡散性能は,空隙構造の緻密化が継続することに加えて,陰イオンの移行を遅延させるナノスケールの空隙径を有することによるものと考えられる. 報告書全文
水素ガス発生に及ぼすセメント水和物試料中の水分の存在状態の影響
低レベル放射性廃棄物を充填固化する際には候補剤としてセメント系材料の使用が考えられている。セメント系材料には水が含まれているため廃棄物由来の放射線によって水素ガスが発生する事が知られており、その正確な見積りが求められている。水素ガス発生量を評価するための研究は、これまでに実規模試験や計算コードによって行われているが、廃棄体中の水分量や水の存在状態に着目した研究は行なわれていない。そこで、セメント水和物試料を対象に試料中の水分の存在状態に着目しガンマ線照射実験を行った。その結果、セメント水和物試料中の化学的に結合をしているような構造水は放射線分解によって水素ガスを発生させない事が示された。また、従来までの水素ガス発生量の評価方法を、今回得られた結果を用いた評価方法に変更することにより、水素ガス発生量の評価値は大幅に低減される事が示された。 報告書全文
福島原子力発電所事故での食品安全規制の課題と改善策
福島原子力発電所事故に伴い、食品中の放射性物質に対する暫定規制値が設定された。水道水、原乳、野菜、魚介類、茶が暫定規制値を上回り、これらの食品の出荷や摂取が一時的に制限された。原子力緊急事態宣言の発令から、食品モニタリング開始まで6日、暫定規制値の設定まで7日、最初の制限開始まで11日かかった。また、各食品で最初に暫定規制値を上回ってから25日以内に制限が開始されたが、制限の開始とともに社会的な混乱が生じた。水道水の制限は51日以内に解除されたが、食べ物の制限は続いている。大部分の暫定規制値は、既存の指標値が準用された。指標値は、食品や放射性核種を包括的に網羅していない上に、緊急時被ばく状況と現存被ばく状況を区別することなく同じ値が設定されていた。また、一部の暫定規制値は、乳児と乳児以外に異なる値が設定された。本報告書では、事故後最初の3ヶ月間の食品モニタリングデータと実施された制限、そして、暫定規制値の設定根拠について整理・分析することで、今回の事故における食品安全規制の課題を抽出して、改善策を提案する。 報告書全文
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【平成22年度】
リスク論的考え方に基づく放射性廃棄物処分の不確実性定量化手法 − 専門家意見聴取プロセスの改良による評価確度向上の検討 −
当所は、評価期間が長期に渡る放射性廃棄物処分に内在する不確実性を、専門家意見の聴取により評価対象に関するモデル・シナリオの選択肢を可視化して定量化する手法を提案している。本報告書では、不確実性の要因である、個々の専門家の判断における選択肢と、複数の専門家判断の分布が、科学的知見等の情報の更新によって変化することを評価する方策として、専門家意見の聴取プロセスにフィードバックの過程を取り入れ、不確実性定量化手法の改良を行った。改良の効果を検討するため、余裕深度処分を想定した人工バリアの劣化時期の不確実性を例題として、専門家意見聴取の試行実験を行った。その結果、判断に関する設問が適切に詳細化され、判断の根拠となる情報との関連がより明確になる効果が確認できた。また、不確実性の要因の一つである専門家意見の分布の幅を減少させる効果も示唆された。以上より、本手法を、不確実性評価の確度の向上を可能とする方法として提案する。 報告書全文
低レベル放射性廃棄物中の放射能分布評価技術の開発(その3)−バックグラウンド補正不確かさを含む測定精度と廃棄体製作工程への影響評価−
大型の低レベル放射性廃棄物の輸送においては、比放射能(放射能濃度)が全体にわたって分布していることを証明することで、LSA-II物質としての取り扱いが可能になり、より合理的な輸送が実現できる。この確認には、大型廃棄体を体積に応じて区分したブロックの比放射能を評価する技術が必要であり、本研究では、デジタルカメラによるステレオ撮影、γ線のモンテカルロ輸送計算及び放射線測定を組み合わせた放射能分布評価手法を開発してきた。連続的に放射線測定を行う本手法は、BG計数率の補正を行う必要がある。BG計数率の補正不確かさを模擬的な廃棄物と標準線源を用いて評価したところ、±30%程度以内で評価可能であることが示され、さらに、この誤差を考慮した上で、本手法の放射能評価不確かさを明らかにした。また、廃棄体製作工程への影響を評価した結果、本手法の適用により見込まれる廃棄体製作時間の増加は10%程度であり、十分に実用的であることが示された。 報告書全文
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【平成21年度】
天然放射能濃度のばらつきを考慮したコンクリートのクリアランス測定に対する検出性能評価
コンクリートのクリアランス測定においては、K-40、U-238及びTh-232とそれらの壊変核種に代表されるような天然放射性核種から放出されるガンマ線がバックグラウンド(BG)となり、測定中のBG計数率を上昇させる。これらの寄与分の補正を行わない場合、上昇分の計数率が汚染、放射化起因の計数率とみなされてしまい、本来クリアランス可能なものであってもクリアランス不可となる恐れがある。また、天然放射性核種の濃度は、コンクリートの材料であるセメント、骨材の種類や産地によって変わることから、当所では、事前の代表サンプルの測定結果を用いてBG計数率を補正する手法を開発してきた。この手法の適用により、コンクリートの放射能を精度良く評価できる見通しが得られたが、同時に、天然放射能のばらつきが大きい条件では、要求される検出限界の確保が難しいことも指摘されてきた。本研究では、実際に原子力発電所から発生したコンクリートを測定し、天然放射能濃度とそのばらつきの大きさについて、現実的な測定重量を考慮した条件で推定し、クリアランス測定への適用について明らかにした。 報告書全文
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【平成20年度】
低レベル放射性廃棄物中の放射能分布評価技術の開発(その2)-形状計測技術を活用した比放射能評価手法における標準不確かさと適用範囲-
原子力発電所の廃止措置においては、炉内構造物等の大型の解体物が多数発生する。IAEA輸送規則によれば、比放射能分布が全体に渡って分布している場合は、LSA(Low Specific Activity)-II物質として分類され、同物質として取り扱うことができれば、IP型輸送物としての輸送が可能になる。同輸送規則の助言文書では、放射能が全体にわたって分布していることの証明として、体積に応じて5または10分割したブロックの比放射能が10倍以内であることを、確認方法として挙げている。本研究では、写真計測技術とモンテカルロ計算及び放射線計測を活用し、さらに、ブロックを分割したセグメント単位で比放射能を評価することで、比較的高精度に比放射能評価が可能な手法を開発し、本手法を組み込んだ「廃棄体中放射能評価システム」を開発した。セグメント及びブロックの放射能評価における標準不確かさを、模擬金属廃棄物と標準線源を用いて評価し、適用範囲について明らかにした。 報告書全文
放射性廃棄物処分事業の品質保証の体系化に向けた検討−不確実性の管理に着目した品質保証概念とその体系化−
放射性廃棄物処分の安全確保の考え方では、管理期間後の長期にわたる安全性の担保が求められる。本研究では、この特徴を考慮した、放射性廃棄物処分の品質保証体系の概念を検討した。この概念を具体化するため、サイト調査・設計・建設・操業・閉鎖・管理・事業廃止などの長期にわたる全段階を対象とした「不確実性」の受け渡しに着目した統一的な視点を導入し、これに基づく設問の下で技術的な品質管理項目を関連付けて整備する方法論を提案した。余裕深度処分の工学技術を対象とした適用試行を行った結果、提案する品質保証の体系化の概念によって、土木工学的検討と長期の性能評価検討を適切に関連付けた説明の見通しを得た。すなわち、提案する方法論は、不確実性を内在する長期の処分事業の「安全性」を品質保証するものとして有効である。 報告書全文
電中研式クリアランスレベル測定装置CLALISを用いた発電所発生物に対する表面汚染密度基準の確認
原子力発電所発生物のクリアランスレベル検認においては,クリアランスレベル(Co-60に対し0.1Bq/g)のみならず物品持ち出し基準(β・γ核種に対して4Bq/cm2)の確認も必要とされている。これまで、これら二つの基準は別々に測定判断され、また、物品持ち出し基準の確認に対してはβ線測定を基本としたGMサーベイメータが主として用いられてきた。当所でこれまで開発してきたクリアランスレベル測定装置CLALISは、レーザースキャナを活用した形状認識技術とモンテカルロ計算、及びγ線計測を組み合わせ、金属およびコンクリートのクリアランス測定に適した検出性能を有することを明らかにしてきた。本研究では、柏崎刈羽原子力発電所において実際に管理区域で発生した対象物の物品持ち出し基準を、CLALISとGMサーベイメータで測定し、両者の結果を比較した。その結果、CLALISはすべての測定物に対してGMサーベイメータと同等の表面汚染検出ができ、CLALISはクリアランスレベル検認において、両基準の判断を一度の測定で達成できることが示された。さらに、CLALISの実用性について、発電所現場における検出限界と処理時間を推定し、現在表面汚染測定に用いられている他の放射線モニタと比較考察した。 報告書全文
鉱物沈殿を考慮したセメント硬化体の化学的変質評価手法の高度化
本研究では、セメント水和物に特徴的な非調和溶解沈殿を現象に即して適切に評価することが可能な化学平衡計算部と、鉱物の溶解沈殿に伴う固相内の空間的な物質移行係数の不均質な分布を再現する物質移行モデルを組み合わせた当所開発の解析コードCCT-Pをベースとして、セメント硬化体と地下水の接触面近傍で溶解度の低い二次鉱物が物理的な皮膜を生成する可能性をモデル化した改良を行った。重炭酸ナトリウム溶液中への普通ポルトランドセメント硬化体の浸漬実験で観察されたカルシウムの溶脱抑制現象について、二次鉱物として炭酸カルシウムの沈殿を想定することにより、現象を精度よく再現することが可能となった。改良CCT-Pは、セメント系材料で構築される放射性廃棄物処分施設を対象に、地下水成分との反応を考慮した場合の長期的な変質挙動を精度よく評価するツールとしての活用が期待できる。 報告書全文
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【平成19年度】
フライアッシュ混合セメント硬化体中における有機炭素およびヨウ素の拡散挙動
放射性廃棄物処分の余裕深度処分システムでは廃棄物の固化材料や構造材料として大量のセメント系材料の使用が予定されている.特に,人工バリア材として仕様が検討されているフライアッシュ混合低熱ポルトランドセメント(FAC)には,セメント系材料に対して収着性の低い核種の移行抑制を図るべく,低拡散性によるバリア機能が期待されている.しかし,処分場性能評価上重要となる有機形態の炭素14(C-14),およびヨウ素129(I-129)のFAC中の拡散挙動に関する検討はほとんど見られないのが現状であり,データの取得および拡散挙動の把握を行う必要がある.そこで本研究では,有機炭素の形態の一つである酢酸,およびヨウ素を用いた拡散実験によって,セメント系材料中における有効拡散係数の取得を行うとともに,FACの核種移行抑制効果を検討することとした.セメント硬化体試料としては,処分場での仕様が検討されているFAC(フライアッシュ/セメント=3/7)に加えて,建築物などに一般的に使用されている普通ポルトランドセメント(OPC)を比較として選択した.拡散実験は,性能評価上重要となる有効拡散係数の取得が可能な透過拡散法で行った.この実験は,セメント硬化体試料で区切られた二つのアクリルセルの片側(高濃度側)にトレーサー濃度を設定した試料溶液を,もう片側(低濃度側)にはトレーサーを含まない溶液を充填することで,低濃度側セルへトレーサーが拡散移行することによるトレーサー濃度の経時変化を測定するものである.OPC硬化体試料を用いた実験では,一般的な拡散実験結果に見られるような拡散速度が一定となる結果が得られた.一方,FAC硬化体試料を用いた実験では酢酸およびヨウ素を用いた場合ともに,時間の経過とともに拡散速度が緩やかになる現象が確認された.これは,FAC硬化体試料に含まれるフライアッシュの水和反応が進行し,FAC硬化体試料をより緻密な構造に変化させたことに起因するものと思われる.拡散実験より有効拡散係数を取得した.FAC硬化体試料については拡散実験開始後と拡散速度が緩やかになる数ヶ月後に分けて有効拡散係数を求めたところ,実験開始後では10-13 m2 s-1オーダー,数ヶ月後では10-14 m2 s-1オーダーの値が得られた.また,OPC硬化体試料については10-12 m2 s-1オーダーの有効拡散係数が得られた.これらのことは,FACで構成された人工バリアが,低収着性の有機炭素やヨウ素についても十分な遅延効果を発揮できることを示唆するものである. 報告書全文
コンクリートのクリアランス測定に対するCLALISの適用性評価
原子力施設の廃止措置におけるクリアランス測定を目的として、レーザー形状計測とモンテカルロ計算を活用したクリアランスレベル測定装置CLALIS(Clearance Automatic Laser Inspection System)が開発された。廃止措置では、金属廃棄物に加え、施設の解体によって発生するコンクリートがらのような建築資材もクリアランス測定の対象となる。コンクリートがらのクリアランスにおいては、放射線測定中のバックグラウンド計数率が、対象物中に含まれる天然放射性核種からのγ線のによって増加してしまうため、その評価が重要である。この問題を解決するため、以前の研究において天然放射性核種の影響を補正するための放射能評価フローの改良がCLALISに施された。本研究では、Co-60、Cs-137およびEu-152の標準線源と模擬的なコンクリート廃棄物を用い、様々な位置、量、サイズのコンクリートがらに対して校正の精度を評価した。また、天然放射性核種のばらつきを考慮にいれた検出限界についても評価した。 報告書全文
熱変質した普通ポルトランドセメント硬化体中の有機炭素拡散挙動
セメント系材料を使用した処分施設の長期的な化学的変質の評価ツールである化学平衡−物質移行連成解析コードの改良開発として,固相内の空間的な物質移行係数が鉱物の溶解沈殿に伴って不均質に分布することを再現するモデルを組み込みました.これにより,空間的な不均質性を生じた場合の変質挙動を現象に即して記述することが可能になりました. 報告書全文
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【平成18年度】
放射性廃棄物処分における「技術的に最善の手段(BAT)」の考え方−諸外国事例のレビューとわが国への示唆−
わが国の放射性廃棄物処分事業における「技術的に最善の手段(Best Available Technique)」の概念の適用性の議論に資するため、BAT概念の適用に関する国内外の事例調査を行うことにより、その定義および適用の意味を明らかにするとともに,事業者側の観点からのBATの概念の具体的なあり方を提案しました。 報告書全文
放射性廃棄物処分環境におけるセメント硬化体の化学的変質評価−セメント鉱物の溶解沈殿による物質移行特性変化を考慮した改良型化学平衡-物質移行連成解析コードの開発−
セメント系材料を使用した処分施設の長期的な化学的変質の評価ツールである化学平衡−物質移行連成解析コードの改良開発として,固相内の空間的な物質移行係数が鉱物の溶解沈殿に伴って不均質に分布することを再現するモデルを組み込みました.これにより,空間的な不均質性を生じた場合の変質挙動を現象に即して記述することが可能になりました. 報告書全文
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【平成17年度】
海水系地下水中におけるセシウム,ストロンチウムのカルシウムシリケート水和物への収着−収着競合反応の観察とモデル解析−
セシウム(Cs)とストロンチウム(Sr)のカルシウムシリケート水和物(C-S-Hゲル)への収着に対して、海水系地下水成分であるナトリウム(Na)が及ぼす競合反応について収着実験によるデータ取得を行うとともに、Cs+、Sr2+、Na+のC-S-Hゲルへの収着をイオン交換反応として表現したモデルを構築しました。 報告書全文
ひび割れを有するセメント系材料の化学的変質評価(その1):単一人工ひび割れに沿った変質挙動の把握と解析コードの開発
単一のひび割れに沿ったセメント硬化体の通水実験により、ひび割れ表面近傍にCa成分の溶脱による変質層の生成を観察するとともに、通水溶液の組成変化が固相の変化と対応していることを把握できました。さらに、実験結果に基づき、単一ひび割れセメント硬化体の変質挙動を良く再現する変質解析コードCCT-Fを開発しました。 報告書全文
透過型拡散実験によるセメント硬化体中における有機炭素の拡散挙動検討
TRU廃棄物処分場の性能評価上重要となる有機炭素のセメント硬化体中における拡散挙動について透過拡散法による実験を行った結果、有機炭素の拡散は収着のような化学的特性より、細孔径分布のような拡散経路を支配する物理的特性に依存していることが示唆されました。 報告書全文
クリアランスレベル測定装置CLALISの応用−天然放射性核種に起因するバックグラウンド計数率の補正手法の開発−
クリアランスレベル測定装置CLALISを、コンクリート廃棄物のクリアランス測定に適用するため、Ge検出器による事前サンプル測定と、モンテカルロ計算を組み合わせ、測定中BG計数率を高精度に補正する手法を新たに開発し、その補正性能について検証しました。その結果、様々な放射能濃度、形状及び量のコンクリート廃棄物に対し、±4%程度以内で、測定中BG計数率を補正可能であることが明らかになりました 報告書全文
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【平成16年度】
電中研式クリアランスレベル測定装置CLALISの開発
レーザー形状計測とモンテカルロ計算を活用し、金属廃棄物中の極微量放射能を評価する実用型装置クリアランスレベル測定装置CLALIS(Clearance Automatic Laser Inspection System)を開発しました。様々な種類と形状、数、大きさの模擬金属廃棄物とCo-60及びCs-137標準線源を用い、本手法の校正とBG計数率補正の精度を実験的に評価し、CLALISの検出限界を算出しました。 報告書概要
低レベル放射性廃棄物中の放射能分布評価技術の開発(その1) −測定システムの要件の抽出−
低レベル放射性廃棄物を収納した容器の放射能分布を評価すため、連続エネルギー粒子輸送計算コードMCNP4C(Monte Carlo for N-Particle Transport Code System ver.4C)を用い、想定した3つの測定方式に対して、廃棄物の充填率と放射能評価の不確かさの関係を評価しました。充填率の高い廃棄物を合理的に輸送するための要件について明らかにしました。 報告書概要
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【平成15年度】
海水系地下水中におけるカルシウムシリケート水和物の化学的変質−ナトリウムの収着機構とカルシウム溶脱への影響−
カルシウムシリケート水和物(C-S-H)を対象に海水成分(NaCl)濃度をパラメータとした収着実験、そして熱力学的モデルによる解析を行うことにより、海水中におけるC-S-Hゲルの化学的な変質現象を把握するとともに、NaCl濃度がC-S-Hゲルの変質に及ぼす影響因子を明らかにしました。 報告書概要
α放射能ダストモニタに及ぼすラドン娘核種の影響評価
α線計数率とα線β線同時計数率を利用したダストモニタの人工のα放射能評価値に自然放射性核種であるラドン娘核種の変動が計数率に与える影響を求めました。その結果、見かけの人工のα放射能濃度が上昇して観測されるときの条件は、218Po濃度に比較して214Pb,214Bi濃度の比率が小さくなった場合、ラドン娘核種濃度が急激に増加した場合、であることが明らかとなりました。 報告書概要
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【平成14年度】
TRU廃棄物処分環境におけるセメント系材料の化学的変質評価(その3)−カルシウムシリケート水和物の非調和溶解モデルを考慮した化学平衡-物質輸送連成計算コードの開発−
セメント系材料で構築された地下処分施設の長期的な変質挙動の評価のため、非調和溶解を伴うセメント水和物を含んだ体系に適した地球化学モデルと物質輸送モデルをカップリングした計算解析コードを開発しました。 報告書概要
TRU廃棄物処分環境におけるセメント系材料の化学的変質評価(その4)−地下水イオンによる二次鉱物生成に関する化学平衡-物質輸送連成計算コードの適用性検証−
処分環境周辺で予想される炭酸イオン、硫酸イオンの影響に注目し、カラム式通水試験装置を用いたセメント水和物の連続的変質実験を行いました。また、当所開発の化学平衡-物質輸送連成解析コードにより、実験で示されたセメント水和物の変質による組成分布を妥当に予測することができました. 報告書概要
TRU廃棄物処分環境におけるセメント系材料の化学的変質評価(その5)−処分施設のセメント変質及び溶出した地下水による周辺岩盤への影響の解析評価−
当所開発のセメント系材料を含んだ系に適した化学平衡-物質輸送連成計算コードを用い、セメント系材料で構築された処分施設自身の変質およびセメント系材料から溶出する高pH・高カルシウム濃度の地下水による周辺岩盤の化学的変質挙動に関する解析を行いました。 報告書概要
収着基礎データに基づくセメント水和物への核種収着機構のモデル解析
処分システムにおいてセメント系材料は、収着性能による化学的な核種閉じ込め機能が期待されています。本報告では、収着実験によるセメント水和物へのCs、Sr、Thの収着機構を明らかにするとともに、これに基づく熱力学的モデル計算手法を提案しました。
Experimental Measurements and Integrated Modelling Studies of Actinide Sorption onto Cement
代表的なセメント系材料である普通ポルトランドセメント(OPC)へのアクチニド固定化に関して、収着分配係数を系統的に実験取得しました。さらに、アクチニドのOPCへの収着について、表面錯体モデルおよびアクチニドの水酸化物種がC-S-Hゲルの表面で共沈現象により固定化されると仮定した表面共沈モデルの適用性を示しました。 報告書概要
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