原子力技術研究所 放射線安全研究センター

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あゆみ

「放射線安全研究センター」の前身である「低線量放射線研究センター」は、医療・産業における放射線の利用、原子力の平和利用など、放射線と人類の係わりがますます重要となる21世紀を見据えて、低線量放射線研究を一層推進するとともに、研究成果を広く発信することを目指して、2000年10月に設立されました。以来、低線量放射線の生物影響研究を独自に進めるとともに、外部研究機関との連携を強化し、低線量研究ネットワークの拠点として、低線量の放射線が生物におよぼす影響の解明と、正しい知識の普及による心理的不安の低減のための研究に取組んできました。2007年5月には、原子力技術研究所内の放射線安全分野の専門家を加えて、「放射線安全研究センター」として発足しました。

なお1990年代から2000年代前半にかけて、当所では放射線ホルミシス効果の検証を目的として実施したプロジェクトを実施しておりましたが、現在のホルミシス効果に対する当所の見解は「放射線ホルミシス効果に関する当センターの見解」の通りであり、ホルミシス効果を人に対する低線量放射線の影響として一般化し、放射線リスクの評価に取り入れることは難しいと考えております。


【年表】
1985年 低線量効果研究会が発足
1987年 培養研究としてホルミシス研究を開始
放射線ホルミシス研究会(当所研究方針の策定に関する検討会)が発足
1988年 フェーズ1研究(研究方法の明確化)を開始(1988-1989)
1990年 ホルミシス研究委員会(所外専門家による研究支援体制)が発足
フェーズ2研究(ホルミシス効果の確認)を開始(1990-1992)
1992年 放射線ホルミシス研究プロジェクトが発足
「自然放射線によるホルミシス」特別講演会(東京)の主催
1993年 フェーズ3研究(ホルミシス効果の検証とメカニズム仮説の提案を目的としたプロジェクト研究)を開始(1993-1996)
「低線量放射線による生体防御機能の活性化」に関する研究の取りまとめ
1997年 フェーズ4研究(ホルミシス効果の検証および機構解明)を開始(1997-2002)
2000年 7月に企画部内に低線量放射線研究総合推進準備室を設置
10月に低線量放射線研究センター(Low Dose Radiation Research Center)設立
2001年 ICRP Clarke委員長を招聘して、センター設立記念国際シンポジウム開催
放射線の正しい理解を目指し、全国の原子力施設訪問による研究紹介活動を開始
低線量放射線研究センターWebサイト開設
2002年 ICRP第1専門委員会 Cox委員長を招聘して国際シンポジウム開催
低線量放射線情報ネットワークシステム(LINS)運用開始
2003年 低線量放射線生物影響の評価(フェーズ1)(低線量・低線量率放射線に特有な生体応答現象の定量的解析と機構解明)研究開始
疫学研究の権威であるDoll博士、Matanoski博士を招聘して国際シンポジウム開催
2004年 低線量放射線研究成果発表会「線量率効果を考える」(狛江)開催
2005年 成果発表と講演の会「低線量放射線研究〜10年の成果と今後の展開」(東京)開催
2006年 プロジェクト研究「低線量放射線生体影響の評価」、および「合理的な放射線安全確保手法の開発」を開始(2006-2008)
2007年 放射線安全分野の専門家を加えて「放射線安全研究センター」に改組、放射線防護分野への取り組みを強化
2008年 個体における低線量・低線量率放射線影響の生物学的意義を機構論から詳細に検討するため、遺伝子改変マウスを用いた動物実験を行う「遺伝子改変マウス生産システム」を新設
2009年 従来経験より研究の方向性を見定め、ヒトの疫学調査・発がんの線量率効果・非がん影響などについて検討を加える研究課題「低線量放射線影響の機構解明」を開始(2009-2011)
2010年 現行の放射線防護体系の中で不確実性が大きい生物学的な問題点について整理・分析し、放射線防護体系の改善に繋がる研究課題を取りまとめ、報告書として公表
2011年 福島第一原子力発電所の事故後に課題となった、防災対策基準の一つである除染のスクリーニングレベルについて放射線防護上の妥当性を評価する研究と、現存被ばく状況(汚染が広域に広がった状況)において廃棄物を安全かつ合理的に管理するための基準の確立に向けた研究に着手(2011-2012)
2012年 これまでの研究成果を基にして、低線量放射線のリスク解明・放射線防護基準の再構築ならびに関連情報の発信などを総合化した研究課題「低線量放射線リスクの定量評価と放射線防護への反映」を開始(2012-2015)

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