電力経済研究 No.66(2019年3月刊行)(4.69MB)
特集
「電力システム改革で創設される新市場の課題」
●特集のねらい(第66号)
わが国の電力システム改革では、従来の卸電力取引のための市場に加え、ベースロード市場、需給調整市場、容量市場、非化石価値取引市場など、新たな市場が次々に創設されることとなっている。併せて、連系線の利用ルールが見直され、その利用計画は間接オークションにより、卸電力市場の結果に基づいて決まることとなっている。このうち、FIT電源を対象とする非化石価値取引市場は2018年5月に取引を開始している他、連系線利用ルールの見直しによる間接オークションも2018年10月から運用されている。その他の市場も2019年度以降、順次、運用が開始される見込みである。
こうした新市場が所期の目的を達成するには、それらが適切に設計される必要がある。しかし、新市場の設計はいずれも複雑であり、同じような市場を創設してきた海外でも試行錯誤が続き、様々な制約の下で、現実に市場を適切に設計することの難しさを物語っている。わが国でもそうした難しさに直面することは避けられないと考えられるが、望ましい制度設計に向けては、電力システム改革の全体像を見渡しながら、個別の市場の課題について理解を深めることが重要と思われる。
本特集号は、電力中央研究所・社会経済研究所が取り組んできた、新市場の制度設計の課題に関連するこれまでの調査研究の成果を収めている。新市場の全体像と電力システム改革における市場メカニズムの活用について論じた総説に続き、個別の市場の制度設計の課題について論じた論文4篇と研究ノート1篇を収めている。論文では、それぞれ専門分野の異なる執筆者が、特定の課題について論じており、制度設計の多岐にわたる論点の一部を扱ったに過ぎないが、今後の詳細設計の議論や見直しに向けて、参考となる知見を提供できれば幸いである。
編集責任者
電力中央研究所 社会経済研究所 服部 徹
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◆電力経済研究(2015年〜)

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